住友電工,モロッコと集光型PV運用実験

住友電気工業は,5月4日に開催された第4回日本・アラブ経済フォーラムの機会に,モロッコ王国太陽エネルギー庁(MASEN)と「1MW集光型太陽光発電(CPV)プロジェクト」に関する実証契約を締結したと発表した(ニュースリリース)。

これは同社とMASENが,同社が開発したCPVを用いた初のメガワット級発電プラントを共同で建設,運用実証を行なっていくことに合意したもの。

CPVは,変換効率が極めて高い化合物半導体の発電素子を用い,太陽を正確に追尾しながらレンズで直達日射光を集め発電する。変換効率は一般的な結晶シリコン太陽電池に比べて約2倍で,また発電素子の温度依存性がほとんどないことから,直達日射量が多く気温が高い地域で有効な発電システムとして期待されている。

今回,集光型太陽光発電装置業界でトップレベルとなる,厚み約120mm,重量約8kgの薄型軽量モジュールを開発した。薄型で軽量なモジュールは,輸送時のモジュール積載効率の向上や現地設置作業効率の向上,また,太陽を追尾する架台に多く搭載できるなどのメリットがあり,発電システムのトータルコスト低減に貢献できるとしている。

同社は2013年4月より,モロッコ・カサブランカ郊外の同社グループ会社敷地内において実証実験を開始。2015年9月からはワルザザートのMASENの研究施設敷地内に20kWCPVシステムを設置し,実証実験を行なってきた。今回の実証契約ではその規模を拡大し,1MWの発電プラントを建設,運用実証を行なう。総発電量の計測や品質分析を行ない,気象や砂塵状況に左右されない安定した発電を目指す。

同社は今回の契約締結を弾みとし,モロッコだけでなく中東諸国を初め世界各地の高日射地域でのCPV事業の展開を進めていくとしている。