2025年,通信用半導体レーザー世界市場は2,814億円

富士キメラ総研は,レーザー光源・発振器と,通信,材料加工分野から医療・美容,計測・分析・センシング,自動車分野まで広がるレーザー搭載アプリケーションの世界市場を調査し,その結果を報告書「2016 高効率レーザー関連市場総調査」にまとめた(ニュースリリース)。

この報告書では,レーザー光源・発振器として半導体レーザー(LD)4品目と非半導体レーザーである気体レーザー4品目,液体レーザー1品目,固体レーザー1品目,次世代・注目レーザー4品目の計14品目,これらが搭載されているアプリケーション9分野30品目について市場動向を分析し,将来展望を明らかにした。

半導体レーザーは中国のFTTx向けと米国のデータセンター向けの需要の伸びを背景に,光通信分野が好調。光通信分野以外では,従来市場をけん引してきた光ストレージ分野やプリンター向けなどに変わり,プロジェクター,ヘッドアップディスプレイ,ヘッドマウントディスプレイなどのディスプレイ・エンターテインメント分野,TOF方式距離画像センサーなどの計測・分析・センシング分野,ヘッドライトシステム,レーザーレーダーなどの自動車分野向けの拡大が期待され,注目されるとしている。

非半導体レーザーは,材料加工分野において,市場をけん引してきたCO2レーザー,YAGレーザーなどの固体レーザーなどから,新興タイプであるファイバーレーザー,ディスクレーザー,DDLなどへのシフトが進んでいる。材料加工分野で最も市場の大きい板金切断向けでは,特に薄板・中厚板加工においてはCO2レーザーからファイバーレーザーへと切り替えが進んでいるとする。

注目の半導体レーザーとして,通信用途で使用されるものを挙げた。2014年から2015年にかけて,中国のFTTx向けと,米国のデータセンター向けの需要が急速に伸び,市場は大幅に拡大した。2017年以降,FTTx向けがピークを迎えるが,データセンター向けでデータ伝送の高速・大容量化がさらに進み,今後も市場は拡大するとみる。

非半導体レーザーでは,増幅媒質に光ファイバーを使用したファイバーレーザーに注目。マーキング向けに市場が立ち上がったが,近年は切断や溶接向け高出力タイプの需要が増加している。

CO2レーザーや固体レーザーからの切り替え需要のほか,レーザー以外の方法で行なわれていた加工でもレーザーが用いられるなど新規需要も発生しているという。2020年までは高い伸びで市場は拡大していくが,2025年頃にはCO2レーザーからの切り替えが落ち着くため,伸びが鈍化するとみる。

エキシマレーザーは希ガス,ハロゲン,バッファーの混合ガスを媒質に発振するレーザー。微細な加工が可能で非熱性であるため,熱に弱い角膜組織に悪影響を与えることがないことから,大部分がレーシック装置向けに採用される。レーシック装置市場は高齢化社会の進展と共に,世界的に需要が増加しており,エキシマレーザーもそれに伴い市場が拡大するとみる。

極短パルスレーザーは近年,微細加工や非熱加工向けの需要が増加しており,市場は拡大している。ミシガン特許が切れたことで市場参入が相次いでいる。また,計測・分析分野では,フェムト秒レーザーを搭載した多光子顕微鏡向けの需要が増加しているという。

CO2レーザーは近年,切断や溶接,マーキングなど材料加工分野において,よりエネルギー変換効率の良いファイバーレーザーへの切り替えが進んでおり,市場は縮小しているが,厚みのある加工対象の切断などで需要があるとしている。