水研機構ら,UVで赤潮を検出するキットを開発

水産研究・教育機構とニッポンジーンは,カレニアミキモトイおよびシャットネラ属の赤潮原因プランクトンを簡単,迅速,正確に検出できるキットを開発した(ニュースリリース)。

水産業への赤潮の被害は甚大なものとなることがあり,その被害を防ぐためには,絶えず赤潮原因プランクトンのモニタリングを行ない,早期に出現状況を把握し,生け簀の移動や餌止めといった対策をとる必要がある。

赤潮原因プランクトンのモニタリングでは,顕微鏡観察で有害種を判定するとともに細胞密度を測定し,赤潮発生の状況を判断している。

しかし,これには高度な種判別の知識が必要で,細胞密度の測定に時間がかかるなどの課題があるため,モニタリングに掛かる負担を軽減できるよう,簡単,迅速,正確に検出できる技術の開発が求められていた。

今回,研究グループは,水産研究・教育機構が既に確立していたDNAから感度良く有害赤潮プランクトンを検出する技術を発展させ,赤潮発生の早期検出技術の実用化のために共同開発研究に取り組んだ。

その結果,検出手順をマニュアル化するとともに,用いる試薬類などをキット化することで,カレニアミキモトイおよびシャットネラ属の赤潮原因プランクトンを検出できるようになった。

検出はマニュアルに従って操作を行ない,10mLの海水から濾過・抽出したDNAに検査溶液を加えて62℃(カレニアミキモトイ)または66℃(シャットネラ属)で1時間保温し,UVライトを当てるだけ。

種判別の高度な知識がなくても,この検出キットを用いて分析すれば,海水10mL中に赤潮原因プランクトンが1細胞あれば,迅速かつ簡単に正確な判定ができるという。

赤潮原因プランクトンを発生のごく初期から高感度で検出できる本検出キットを活用することで,早期に適切な対策を講じることが可能となり,赤潮による水産業への甚大な被害を軽減することに貢献することが期待されるとしている。