リコー,自動車向け多レイヤーLiDARを開発

リコーはレーザーを用いた測距センサーであるLiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)の開発を進めており,その試作品を9月14日~16日にパシフィコ横浜(横浜)にて開催した光技術展示会,InterOpto2016に出展した。

開発品は900nm帯の半導体レーザーをミラーを使ってスキャンするメカニカルスキャン方式で,主な仕様は,1レイヤー,画角145°,角度分解能0.1°(最大0.25°),周波数60~100ms。出力は非公表だが,反射率10%の物体を50~70mの距離から検出できるという。

開発品はADASや自動運転での採用を強く意識しており,サイズは130(W)×110(D)×45(H)mmとバンパーに収まる大きさとなっている。さらに今後は最大20までレイヤーを増やす方向で開発を進めており,その際には高さ(H)が60mmになるというが,実現すればこれだけのレイヤー数を持つLiDARとしては異例の小型製品となる。

屋外のテストでは,120m程度の距離内にある壁面やコンテナ,樹木,支柱などの検出に成功しており,今後は実験を繰り返しながら堅牢性やロバスト性などを高めていくとしている。発売スケージュールは未定だが,来年度には複数レイヤーを搭載した試作機を公開したいとしている。

LiDARは自動車メーカー各社やGoogleなどが実験用車両に使用しているが,市販車には搭載例がまだ殆どない。しかし,来年には仏Valeoが開発したLiDARを搭載した車両の販売を独Audiが開始すると発表するなど開発競争は激化しており,後発の同社がどこまで市場に食い込めるか注目される。

なお,同社が今回発表したその他の開発仕様は以下の通り。
検知距離 (物体反射率10%) 中心:50~70m/周辺:25~35m
     (物体反射率80%) 中心:120~170m/周辺:60~85m
画角   (水平)145°/(垂直):1~10°(20レイヤー時)
距離精度  0.1m(最大検知距離において)
角度分解能(水平)0.1~0.25°/(垂直)0.5~1°

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