阪大,結露によるインタラクティブディスプレーを開発

大阪大学の研究グループは,鏡面状平板表面の温度分布を制御することにより,結露をピクセルとして用いて情報を提示するディスプレー(Ketsuro-Graffiti)を開発した(ニュースリリース)。

結露は,室内の露点よりも物体表面の温度が高いか低いかを制御することにより,物質表面への結露の生成・消滅を自由に制御できる。また,露点とどの程度の温度差をつけるか制御することにより,凝縮する水蒸気量を制御することができ,生成する結露の濃淡を制御することが可能となる。さらに,体温よりも低温の物体に人が手指で触れると,手指から物体に熱が移動し,物体の温度が上昇する。このときの物体の温度変化を検出することにより,物体への手指のタッチを検出することができる。

今回の研究では,開ループ制御により温度を制御するディスプレー(10×10ピクセル )と,閉ループ制御により温度を制御するディスプレー(2×2ピクセル)を実装した。ディスプレー面の素材には塩ビ板ミラー,冷却素子にはペルチェ素子を用いた。閉ループ制御を用いたディスプレーでは,各ピクセルに温度センサーを配しており,ディスプレー表面の温度変化をセンシングしてユーザのタッチを検出する。ディスプレイに表示する結露のパターンは,PCのアプリケーションでお絵描きのように操作できる。

濃淡制御の性能評価のために,凝縮した水蒸気量とディスプレー表面の鏡面光沢度の関係を調べる実験を行なった。これは結露が濃くなるに従い,水滴により光が拡散反射し鏡面光沢度が減少すると考えられ,鏡面光沢度の測定により視覚的な濃淡を定量的に評価できると考えたため。実験の結果,温度を低くして凝縮する水蒸気を増加させるのに従い,光沢度が減少することがわかった。

このことから,開発した機構により温度を制御することにより結露の視覚的な濃淡を制御可能であることが示唆された。さらに,人が何段階で結露の濃淡を知覚できるか評価するための被験者実験を実施した結果,提示した10段階の濃淡の内9段階の濃淡に有意な差があることがわかった。つまり,開発したディスプレーにより,有意に差のある9段階の濃淡の結露を制御できる。

開発したディスプレーにより,結露のもつ特性を用いた様々な応用が期待されるという。例えば,窓や鏡などに発生した結露に指で落書きをするという行為は一般的なものであり,誰もが一度は経験したことがある。触れたくなるという結露の特性を用いることにより,人が近づいて触れたくなるデジタルサイネージに応用することができるという。

また,身近に存在する鏡などに情報を提示可能であるため,環境に溶け込んで情報を提示するアンビエントなディスプレイとしての応用が期待される。さらに,結露が発生した箇所をスクリーン,発生していない箇所を鏡として用いることにより,実際の鏡を用いたAR試着システムを実現することが可能となる。既存の大型ディスプレイによるシステムよりも,より現実の試着に近い体験を提供することができるとしている。

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