京大ら,タンパク質中の原子の動きをXFELで撮影

京都大学,高輝度光科学研究センター,東京大学,神戸大学,大阪大学,スウェーデン ヨーテボリ大学らの共同研究グループは,X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAの高品質な光を利用して,膜タンパク質が働く瞬間を原子レベルで,コマ送り動画のように捉えることに世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

タンパク質が働く際には立体構造が変化するが,従来のX線結晶構造解析ではタンパク質が動いている状態の観測は困難だった。また,従来の方法では測定中の放射線損傷によりタンパク質の動きに影響を及ぼしてしまうため,放射線の影響を取り除きつつ「動いている状態」を観測する必要があった。

タンパク質が働いて構造変化する様子を捉える「時分割実験」を行なうためには,タンパク質に何らかの刺激を与え,一斉に動きを開始させて測定を行なう必要がある。今回の研究では,光が当たると反応を開始するタンパク質をターゲットとして,タンパク質の動きを捉えることができる方法の開発に挑んだ。

研究グループは,連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)法とポンプ・プローブ法を組み合わせた実験装置を開発した。今回開発した実験装置では,タンパク質の働きを開始するための可視光レーザーを導入し,空間的・時間的に高い精度で連続的に吐出されるタンパク質微小結晶へのX線自由電子レーザーと可視光レーザーの照射を可能とした。

また,開発した実験装置を用い,バクテリオロドプシンという膜タンパク質の構造変化を捉えることにも成功した。今回の実験ではタンパク質が光を受けた後,ナノ秒からミリ秒にかけて13の時点で測定を行ない,コマ送り撮影のようにタンパク質の構造変化を観察した。

この結果,ナノ秒からミリ秒単位の多くの時点で膜タンパク質の構造変化の撮影に成功し,タンパク質構造や水分子がどのように動いて水素イオン移動を達成するのか明らかにした初めての例となった。

この成果で得られた技術や実験装置を用いて,光で反応する他の種類のタンパク質の構造変化も原子レベルで解明できるようになる。今後は光で反応しない酵素や受容体など,他のタンパク質についても,光を受けてタンパク質と反応する化合物を使った実験を通してタンパク質の動く様子を捉えることが期待できるという。

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