筑波大ら,ペロブスカイト太陽電池の効率向上機構を解明

筑波大は,九州工業大学と共同で,ペロブスカイト太陽電池中の正孔輸送材料のドーピング(添加)による効率向上の微視的機構を解明することに成功した(ニュースリリース)。

有機無機混成材料であるペロブスカイトは太陽電池の最も有望な新しい材料の1つとして注目されている。ペロブスカイトは比較的安く作製でき,軽量かつフレキシブルな特長を持ち,この数年間で著しいエネルギー変換効率の向上が達成され,従来の最も優れた光電池材料と匹敵する特性が得られている。

従来の研究では,主にペロブスカイト太陽電池の効率の向上に焦点が置かれてきた。しかし,効率に寄与する具体的な微視的機構については,十分に解明されていなかった。

研究では,ペロブスカイト太陽電池に使用される典型的な材料であるspiro-OMeTADと,伝導性を向上させるために添加されるリチウム塩(Li-TFSI)に着目し,電子スピン共鳴(ESR)分光を用いて,材料内の正孔(正電荷)の形成と移動の状態を検出した。

その結果,リチウム塩によりspiro-OMeTAD内に正孔がドーピングされ,それにより他の正孔が自由に移動できるようになることで,電流を運ぶ能力が向上するメカニズムを明らかにした。

今後,様々な正孔輸送材料等の素子構成材料や積層試料,あるいはペロブスカイト太陽電池そのものにESR分光を適用することにより,従来の研究では得られない微視的な機構の解明が進み,ペロブスカイト太陽電池の更なる効率向上やより良い材料の開発に寄与するとしている。

その他関連ニュース

  • 東北大ら,ペロブスカイト半導体の発光量子効率を計測 2019年08月02日
  • 山口大,強誘電体を身近な化学物質から合成 2019年08月01日
  • 東工大,低電圧/高輝度のペロブスカイトLEDを開発 2019年07月31日
  • 九大,従来よりも10倍厚い有機ELを開発 2019年07月30日
  • 京大,負の屈折率温度係数を持つ材料を発見 2019年07月23日
  • 東大,ペロブスカイト太陽電池で変換効率20.7% 2019年07月08日
  • OIST,ペロブスカイト太陽電池の汚染防止材を発見 2019年06月19日
  • 京大ら,ペロブスカイト太陽電池を大面積塗工 2019年05月29日