超小型,NIR/MIR分光センサー

MIR(赤:奥)/NIR(青:手前)センサー

ケイエルブイは,フィンランド のSPECTRAL ENGINES社(SE社)が開発した,工業製品向け一体型パッケージのNIRおよびMIR分光センサーを取り扱っている。 SE社はVTT(フィンランド技術研究センター)にて長年研究されてきたMEMS型ファブリペロー近赤外分光技術を応用した製品化を行なっている企業。

SE社の技術的特徴はその分光方式にあり,一般的な近赤外分光器がグレーティングと2次元アレーセンサーを用いているのに対し,同社は分光モジュールにファブリペロー干渉計とMEMS制御による独自の方式を採用することで,大幅な小型化と軽量化を実現している。

このNIRおよびMIR分光センサーは,上述の分光モジュールを使用し,従来型の近赤外分光器と比較して小型(57×58×27mm)・高感度となっている。また,ディテクターをペルチェ素子でアクティブに温度制御することで,環境に左右されない安定した波長精度での測定ができる。

SE社の超小型分光モジュール

波長範囲は,NIR分光センサーの「Nシリーズ」が1.35〜1.65μmの「N1.7」,1.55〜1.95μmの「N2.0」,1.75〜2.15μmの「N2.2」の3機種を,MIR分光センサーの「Mシリーズ」が3000〜3700nmの「M3.7」,3700〜4300nmの「M4.3」の2機種をそれぞれ展開する。価格はNIR分光センサーが各50万円,MIR分光センサーが各65万円となっている。

いずれもUSB接続によるプラグ&プレイデバイスで,基本ソフトが同梱されているほか校正も出荷時に済んでいるので,光源を用意すればすぐに使用することができる。透過型として使用することを想定しており,SMAタイプの光学インターフェースにより赤外域を透過する一般的なファイバーが利用できる。

NIR分光センサーは水分検出を得意とし,アプリケーションとして製薬,食品,製紙,農業などの工業製造プロセスが想定される。数ミリ秒という高速測定が可能なほか,小型なので据置・可搬を問わず装置組込みにも使いやすい。

他にもエタノール混合物の測定,例えばバイオ燃料の生産では重要なパラメーターである含水量や含糖量のモニタリングに適している。ミルクの脂肪分含有量測定においては,硫酸を必要とするゲルベル法や精度が低い乳比重法といった古典的な分析方法を,安全・高精度に代替することができる。

一方,MIR分光センサーはガス検知を有力なアプリケーションとして想定している。中でもCO2の計測は燃焼プロセスにおける排煙や,化学プラントの生産・環境管理での重要な指標の一つとなる。一般的にCO2の計測に使われるNDIRセンサーと比較して,MIR分光センサーは安定度に優れ,より信頼性の高い計測が可能だという。

「高性能で使いやすい」と語る田中課長

また,ガス状のC1-C5パラフィン系炭化水素(アルカン)の分析にも威力を発揮する。これらのガス分析は炭化水素および天然ガス加工産業において高い需要があるが, NDIRセンサーは組成の特定が難しく,定性・定量分析が可能なFTIRは非常に高価だという問題があった。MIR分光センサーはアルゴリズムによって測定結果からガス成分を特定できるほか,価格も安いので多点計測によるモニタリングにも適している。

同社営業部課長の田中敏行氏は「この装置はペルチェ素子により安定した動作が可能です。SE社の分光器シリーズシリーズの中では最もスタンダードなタイプで,機械や測定装置,ラボなどでの利用に向いています」とし,上述した分野を中心に拡販を進めるとしている。 NIR分光センサー「Nシリーズ」およびMIR分光センサー「Mシリーズ」の仕様,詳細についてのURLは以下の通り。

NIR分光センサー「Nシリーズ」仕様

波長範囲 1.35~1.65μm (N1.7)
1.55~1.95μm (N2.0)
1.75~2.15μm (N2.2)
波長分解能 (FWHM) 12~16nm (N1.7)
14~20nm (N2.0)
18~24nm (N2.2)
検出器 InGaAs (単一素子)
最大波長選択数 511ポイント (最小ステップ0.05nm)
波長切り替え時間 1ms
波長ポイントあたりの最小測定時間 0.1ms
波長精度@25°C <±0.1nm
SNR (typ.積算時間0.1s) >10,000
波長温度応答 (max.) 0.1nm/°C
動作温度範囲 0…+70°C (結露なきこと)
消費電力 <1.5W
光学インターフェース SMA905 (ファイバー:400 μm、NA 0.22)
コリメーターレンズ (オプション)
電気インターフェース USB (その他インターフェースは要問合せ)
サイズ (幅×長さ×高さ) 57×58×27mm³
重量 125g

MIR分光センサー「Mシリーズ」仕様

波長範囲 3000~3700nm (M3.7)
3700~4300nm (M4.3)
波長分解能 (FWHM) 35~50nm (M3.7)
80~110nm (M4.3)
検出器 PbSe (単一素子)
検出モード ロックイン (at 10Hz)
最大波長選択数 511ポイント (最小ステップ1.0nm)
波長切り替え時間 1ms
波長ポイントあたりの最小測定時間 0.5s
波長精度@25°C ±3nm
SNR (typ.積算時間0.5s) > 200
波長温度応答 (max.) 0.2nm/℃
動作温度範囲 0…+50°C (結露なきこと)
消費電力 < 1.5W
光学インターフェース SMA905 (ファイバー:400 μm、NA 0.22)
コリメーターレンズ (オプション)
電気インターフェース USB (その他インターフェースは要問合せ)
光源制御インターフェース Binder711
サイズ (幅×長さ×高さ) 57×58×27mm³
重量 125g

詳細ページURL
NIR分光センサー「Nシリーズ」
http://www.optronics-media.com/webad/1704klv/nir_spectral.html

MIR分光センサー「Mシリーズ」
http://www.optronics-media.com/webad/1704klv/mir_spectral.html

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