北大,赤外発光するメカノクロミック分子を開発

北海道大学の研究グループは,紫外線照射下での発光が,機械的刺激により青色から赤外領域(波長が750㎚以上となる光の領域)へ切り替わるメカノクロミック分子(錯体3)を新しく開発することに成功した(ニュースリリース)。

近年,機械的刺激を与えることで,紫外線照射下で固体や液晶材料の発光の色が切り替わる現象である,発光性メカノクロミズムを示す分子(メカノクロミック分子)が盛んに研究されている。機械的刺激とは,乳鉢と乳棒ですりつぶす,ヘラでひっかくなどの刺激を指す。材料の発光色の変化を目で見ることで力が加わったかどうかを検知できるため,センサーへの応用が期待されている。

これまで500種ものメカノクロミック分子が報告されてきましたが,いずれの分子も発光色の切り替えは可視光領域で起きていた。赤外領域で発光するメカノクロミック分子を開発することができれば,人間の目では認識できない利点を活かし,セキュリティ材料への応用が可能となるが,これまでに報告はなかった。

研究グループは,紫外線照射下での発光が,機械的刺激により青色から赤外領域へ切り替わるメカノクロミック分子(錯体3)を新しく開発することに成功した。このメカノクロミック分子は,機械的刺激を与える前は青色に発光し,発光極大波長(λmax)は448㎚だった。

また,機械的刺激を与えた後の粉末は発光が肉眼でほぼ観測できなくなり,λmaxが900㎚に変化していることが明らかになった。X線回折測定などにより,錯体3は金原子間相互作用の形成によって赤外発光を示したことが明らかとなった。

研究では,赤外発光特性に切り替わるメカノクロミック分子の開発に初めて成功した。この成果はセンサーのほか,赤外光は生体を構成する物質(水やヘム蛋白,メラニン色素など)に吸収されにくい特性を持つため,将来の応用展開として,赤外発光性メカノクロミック分子を生体細胞に投与し発光変化の有無を観察することで,運動に伴う力学的応力の発生部位の特定なども期待されるとしている。

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