芝浦工大,レーザー誘起プラズマで果実を評価

芝浦工業大学は,レーザー誘起プラズマ(Laser-Induced Plasma: LIP)による衝撃波を用いて,青果物に全く触れずに非破壊で品質を評価できるシステムを開発した(ニュースリリース)。

青果物の熟度を評価する非破壊検査として,光の照射や加振器など接触式デバイスを用いた手法が実用化されている。しかし,色の変化が現れない青果物や光を透過しない青果物,柔らかくて損傷の恐れのある青果物(桃など)への適用は難しいことや,一つずつ検査するのに莫大な手間と時間が掛かるなど,いまだ発展途上の段階にある。

研究グループは青果物の品質を評価するにあたり,熟度に相関する指標の一つである「硬さ」に着目。パルスレーザーを用いてりんごの加振点近傍でLIP衝撃波を生成し,レーザードップラー振動計により,非接触で計測した。

その結果,りんごの直径上の振動モード形状と固有振動数を得ることができ,非接触・非破壊でりんごの硬さを評価することに成功した。これにより,食べ頃や収穫時期を非接触・非破壊で全品検査することも可能となる。また,固有振動数の変化を捉えることで,貯蔵期間の経過に伴うりんごの硬さの推移を評価することにも成功した。

従来のシステムでは品質評価が困難だった,扱いがデリケートな青果物や樹上で結実した収穫前の青果物にも適用できる可能性がある。LIP衝撃波は空気中の任意の場所に発生させることができるため,レーザー追尾システムを用いてすべてを自動化することで,作業工程・人力の負担削減なども期待できるという。

将来的には,生産性の高い農産物のブランド化や農業の6次産業化など,新たな付加価値を生み出す活力ある農業の振興に役立つシステムの確立を目指し,生産者や企業と連携して協力を仰ぎながら,必要なデータを収集するなどして実用化を目指すとしている。

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