東大,キタエフスピン液体の可能性を裏付け

東京大学は,キタエフスピン液体を有機-無機ハイブリッド物質である金属有機構造体(Metal-Organic Framework,MOF)によって実現する可能性を提案し,電子状態計算によって理論的な裏付けを行なった(ニュースリリース)。

キタエフ模型は,絶対零度でもミクロな磁石の向きであるスピンが凍結せず液体的にふるまう磁性体の模型で,その液体状態をキタエフスピン液体と呼ぶ。キタエフ(Alexei Kitaev カリフォルニア工科大学教授)によって最初に提唱された後,イリジウム酸化物などの無機化合物で実現される可能性が指摘され,盛んに研究されているが,無機化合物は一般に性質の調整が難しく実現が困難だった。

研究では,無数に種類のある有機分子を利用することで物性の調整が可能なMOFに着目し,ルテニウムとシュウ酸からなるMOFにおいてキタエフスピン液体が理想的に実現できることを見出した。

MOFは,金属原子と有機分子が網目状に結合した物質の総称で,近年,化学の分野で盛んに研究されている。異なる有機分子を用いることで性質を細かく調整することが可能であり,今回の提案によりキタエフスピン液体の実際の物質中での実現に大きく道が開かれたとしている。

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