レーザー光源・発振器の世界市場,2017年は6,314億円

富士キメラ総研はレーザー光源・発振器と,通信,材料加工分野から医療・美容,計測・分析・センシング,自動車分野におけるレーザー搭載アプリケーションの世界市場を調査し,報告書「2016 高効率レーザー関連市場総調査」をまとめた。

この報告書では,レーザー光源・発振器として半導体レーザー4品目と,非半導体レーザーである気体レーザー4品目,液体レーザー1品目,固体レーザー1品目,次世代・注目レーザー4品目の合計14品目に加え,これらのレーザーが搭載されているアプリケーション9分野30品目の市場動向を分析し,将来を展望している。

■レーザー光源・発振器市場
図1 レーザー光源・発振器市場 ※2016年は見込み,2017年以降は予測
図1 レーザー光源・発振器市場 
※2016年は見込み,2017年以降は予測

金額ベースでは2015年が5,591億円,2016年に5,893億円を見込んでおり,2017年には6,314億円,2020年には8,070億円になると予測している(図1)。

半導体レーザーは中国のFTTx向けと,米国のデータセンター向けの需要が伸び,光通信分野が好調に推移するとしている一方,これまで市場をけん引してきた光ストレージ分野やプリンター向けなどに変わり,プロジェクターやヘッドアップディスプレイ,ヘッドマウントディスプレイなどのディスプレイ・エンターテインメント分野,TOF方式距離画像センサーなどの計測・分析・センシング分野,ヘッドライトシステム,レーザーレーダーなどの自動車分野向けの用途拡大が期待されている。

非半導体レーザーでは,材料加工分野の市場占有率が高まっている。ファイバーレーザーやディスクレーザー,ダイレクトダイオードレーザーの登場とプロセシング開発の進展により,これまで市場をけん引してきたCO2レーザーやYAGレーザーなどの固体レーザーとの代替が進み始めている。特に薄板・中板を対象とする板金加工向けでは,CO2レーザーからファイバーレーザーの切り替えが顕著となりつつある。

また,非半導体レーザーの中でも,特にダイレクトダイオードレーザー市場の今後の伸びに注目したい。ダイレクトダイオードレーザー市場トップにあるのが米国テラダイオードだが,パナソニックが同社を買収すると発表。米国コヒレント社やドイツLaserlineといった海外メーカーも肉盛り溶接などの加工で納入実績を伸ばしている。さらに工作機械へのダイレクトダイオードレーザーの採用も進み始めており,レーザーとの複合加工がトレンドとなっている。ビーム品質も進展していることもあり,今後は切断用途での採用が増えるものと考えられる。

■通信用半導体レーザー市場
図2 通信用半導体レーザー市場の推移 ※2016年は見込み,2017年以降は予測
図2 通信用半導体レーザー市場の推移 
※2016年は見込み,2017年以降は予測

金額ベースでは2015年が949億円,2016年に1,061億円を見込んでおり,2017年は1,256億円,2020年には2,304億円になると予測されている(図2)。

2017年以降,FTTx向けがピークを迎えるものの,データセンター向けの高速伝送・大容量化がさらに進み,今後も市場は拡大するものと見られている。2025年には,2015年の約3倍の市場規模になると試算されている。