次世代自動車を担うレーザーヘッドランプとLiDARの開発状況

■日本メーカーの動向
カメラと組み合わせたオムロンのLiDAR
カメラと組み合わせたオムロンのLiDAR

国内でも自動運転を見据え,LiDARの開発に乗り出す企業が出てきた。オムロンオートモーティブエレクトロニクスは,メカニカルスキャンを用いたLiDARを製品化してきたが,新たに受光素子を多分割したメカレスのLiDARを開発,カメラと組み合わせた距離センサーとして2018年の出荷を予定している。これはカメラが苦手とする逆光や夜間などでのセンシングを補うもので,LiDARは30 m先の自動車を検知(カメラは80 m)できるとしている。

ただし,この製品は自動運転や高レベルのADASを実現するためのLiDARではなく,カメラと組み合わせることで,軽自動車などに搭載されている現在のレーザーレーダーに,人検出などの機能を加えた製品になる。

コニカミノルタのライダーを搭載したZMPの自動運転車
コニカミノルタのライダーを搭載したZMPの自動運転車

コニカミノルタは,垂直方向に最大24レイヤー,水平画角最大180度というLiDARを開発,ZMPの車両に搭載して実用化を目指している。メカニカルスキャン方式で,外乱光に強いのが特長だという。検出距離は車で100 m以上,人で50 m以上だとしている。

量産化をイメージしたパイオニアのモックアップ
量産化をイメージしたパイオニアのモックアップ

パイオニアは100 m以上先を水平210度,上方+15度,下方−5度の範囲で走査するLiDARの開発を行なっている。このLiDAR 4つを自動車に取付け,周囲360°をセンシングする計画だ。

レーザーの走査にMEMSミラーを用いることで信頼性を向上すると共に,外乱光に対してはデジタル波形信号処理を用いることで,あらゆる環境下で使用できるようにする。価格は1万円を目指したいとしている。

また同社は,地図と位置情報を提供するドイツのHEREと,自動運転・高度運転支援向け技術に向けた提携を発表している。パイオニアがDVDなどで培ってきたレーザー技術と,カーナビで培ってきたナビゲーション技術が新たな領域で融合することで,同社ならではのソリューションの登場が期待できそうだ。

豊田中央研究所はトヨタと共同で,「SPAD(Single Photon Avalanche Diode)LIDAR」と呼ぶメカニカルスキャンを用いたLiDARを開発している。トヨタはもともとVelodyneの「HDL-64e」を用いて自動運車の研究を行なっていたが,実装に向け独自の開発を始めたものだ。

これは受光素子に16ピクセルの1次元アレイを用いたもので,ポリゴンミラーによって垂直6方向をスキャンする。この技術で,シングルエミッタ―のレーザーと1チップのCMOSで縦方向に96ピクセルの解像度を持つLiDARを実現できるとしている。

検出距離は80 mで小型化も進めており,高速道路の自動運転を行なった試作車には前後3台ずつ,6台のこのLiDARが搭載されている。今後はメカレス化を含め,世界最大の自動車メーカーがどのようにLiDARを進化させていくのか注目される。