メガオプト,超小型波長可変パルスレーザーを開発

内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」の一環として,メガオプトの研究開発グループは,媒質にチタンサファイアを用いた,超小型の波長可変パルスレーザーの開発に成功した(ニュースリリース)。

光超音波イメージング法を用いて血液における酸素飽和度のリアルタイム3D画像を得るためには,波長可変レーザーとして血液中の酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンが吸収する2つの波長を出力できること,さらに大出力パルスエネルギー(~100mJ/パルス)であること,2つの波長を高速で切替え(20Hz以上)できることが求められている。

1台のパルスレーザーでこれを実現するには,大型で複雑な光学系となるため小型化が難しい。このため,既存の波長可変レーザーで20Hz以上の高速で波長を切替えるには,2台の波長可変パルスレーザーが必要だった。そこでメガオプトでは,超小型波長可変レーザー,および超小型波長可変レーザーの特長を活かした励起レーザーの技術開発を行なった。

従来の波長可変レーザーの共振器では,共振器内の波長フィルターの波長幅が数十nmと広く,広帯域の利得から高純度な波長を得るためにシングルモード発振が常識だった。このため,共振器内の光路を数十㎝程度に十分長くする必要があった。また,シングルモード発振の場合,共振器で出力エネルギーが制限され,高出力化するには共振器を複数設け増幅することも必要だった。

だが,今回のように,あらかじめ必要な波長がわかっている場合,共振器は必要な波長だけで共振できれば良い。そこで,単一波長だけを広帯域利得にフィードバックする共振器を考案した。このレーザー共振器はマルチモード発振によっても不要な波長をフィードバックすることがない。マルチモード発振は短共振器および大口径出力で得られるので,わずか数㎝程度の長さの高出力のレーザー共振器を実現した。

2つの波長出力が要求される場合,小型のレーザー共振器2台を並列し,1台の励起レーザー光を切り替えて導光することで,2波長交互に出力する小型のレーザー共振器となる。新原理検証として756nm,797nmの2波長を出力する波長可変レーザーを試作し,励起レーザー光には市販のフラッシュランプ励起ネオジムヤグレーザーを使用して,パルスエネルギー:100mJ,2波長交互照射:20Hz,パルス幅<20nsのレーザー出力特性が得られることを確認した。

開発したレーザー共振器は狭帯域で,共振器のフィードバックする波長は,700nmから950nmで設定できる。こうした方法により波長可変レーザーのサイズは,従来のレーザーの7分の1以下に小型化することができた。

さらに,励起レーザー技術も開発した。高出力短パルスのチタンサファイアレーザー出力を得るためにの励起パルスは,ネオジムヤグレーザー出力の波長変換により得られる。ネオジムヤグレーザーの主流は,レーザーダイオードを励起源とする全固体レーザーだが,低価格化,小型化およびメンテナンス間隔を検討して励起光源にフラッシュランプ励起レーザーを採用した。

波長可変レーザーでは,励起レーザーの空間的な分布(出力プロファイル)に局所的に高い出力があると,光学部品やレーザー媒質を損傷する原因になる。今回,波長可変レーザーの狭帯域の特徴を生かした,平坦な出力プロファイルを持つフラッシュランプ励起レーザーを開発した。これにより,波長可変レーザーの安定性と信頼性を向上した。

今後,実用化に向けて,開発したフラッシュランプ励起レーザーと2波長可変の超小型波長可変レーザーが一体になった,励起レーザー一体型の超小型波長可変パルスレーザー装置を開発するとしている。

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