東大,超高輝度超新星の紫外線放射メカニズムを解明

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の研究グループは,通常の超新星より極度に明るい超高輝度超新星Gaia16apdが紫外線波長で特に明るく輝くという特徴は,超新星周囲の物質との激しい衝突によって最もよく再現できることを示した(ニュースリリース)。

Gaia16apdは,16億光年離れた暗い矮小銀河に存在する,最近発見された超高輝度超新星。Gaia16apdは異常なほど強い紫外線を放射しているが,そのメカニズムは従来の3つのモデルのいずれに適合するのか分かっていなかった。

重元素ニッケルの放射性同位体である56Niを大量に含むという「電子対生成不安定モデル」,超高速回転をし極度に磁化した中性子星であるマグネターが強い電磁波を放射するという「マグネターモデル」,超新星爆発時の噴出物が,超新星爆発直前に放出していた大量のガスと激しく衝突するという 「衝突モデル」 の3つ。

研究グループは,多波長放射流体力学計算用コードを用いて各モデルについてシミュレーションを行ない,紫外線,可視光,赤外線の各波長の光度曲線,光球半径と爆発の速度が観測をよく再現できるかどうかを調べた。

その結果,Gaia16apdが「衝突モデル」の超新星である可能性が最も高いことを発見した。更にこの数値技法を使って異なる3つの各モデルの紫外線放射を計算する方法を発展させた。

研究グループの開発したこの技法は,観測された超高輝度超新星がどのモデルに即しているのかを特定する研究に今後役立つと想定されるとしている。

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