「熟成した8K」の開発に移行するNHK放送技術研究所

NHK放送技術研究所(技研)は,5月26日〜29日,開発成果を一般に公開する「技研公開2016」を開催した。

NHKでは2020年のオリンピック・パラリンピックをスーパーハイビジョン(8K)で放送することを目標としており,今年の8月1日に衛星による試験放送を,2018年には本放送を計画している。

これに間に合わせるため,技研では,放送に必要な技術の開発を企業とも協力しながら進めてきた。ここ数年その進歩は目覚ましく,8K放送に必要な要素技術はほぼ出揃った印象を受ける。

今回の技研公開では,早くも8Kの先を見越した立体映像を大きく取り上げる一方,8K技術に関してはこれまでの要素技術より一歩先にある「成熟した8K技術」が展示の中心となり,研究の軸足が要素技術の開発から移行しつつあることを印象付けるものであった。

■シート型8Kディスプレー

技研では8Kにおいて,視聴者がより高い没入感を得られるよう,画素が判別できない距離から視界全体をテレビ画面で覆う視聴方法を想定してきた。それには100インチのディスプレーが理想だとしてきたが,実際にこの大きさのテレビを日本の家庭に入れることは難しい。そこで技研ではシート状で丸めることができる軽量・フレキシブなルディスプレーの開発が,8Kが本格的な普及を左右するカギになると見てその開発を進めてきている。

今回,家庭に入る8Kテレビのイメージを喚起するため,65インチの4K有機ELパネルを4枚繋いだ,130インチ「シート型ディスプレー」を製作した。

パネルはLGディスプレイ製で,8K信号を4分割する処理を技研とアストロデザインが受け持った。4Kパネルはガラス基板を用いておりフレキシブルではないが,パネル自体の厚さは1 mmで,パネル同士の接合部でも2 mmと非常に薄い。ダミーの巻上げ収納部も付けたことで,フレキシブルなディスプレーを実際に壁に掛けたイメージをリアルに提示した。