府立医大,昼夜リズムの乱れが炎症を誘導すると発見

京都府立医科大学の研究グループは,マウスのシフトワークモデル条件下での長期前向き観察研究により,長期にわたる概日リズム障害は慢性的な炎症を誘導するとともに寿命が短縮するマウスが増加する傾向があることを発見した(ニュースリリース)。

これまで,明暗環境の頻繁なシフトによる概日リズム障害がマウスなどの動物実験で寿命を短縮させることが分かっていた。今回,二種類の異なるシフトワークモデル条件下でマウスを長期間飼育し,前向き観察研究を行なうことで概日リズム障害の病態解明の手がかりが得られるか検討した。

その結果,明暗周期を頻繁にシフトさせ概日リズム障害が顕著な群で,寿命の短縮傾向が見られるとともに慢性的な炎症が生じていることが分かった。

今回の研究はパイロット研究として実施したもので,今後さらなる検討が必要だが,この結果を受けて,持続する概日リズム障害では免疫恒常性の破綻が疾患リスク上昇に影響する可能性が浮かび上がり,この点について詳細な研究の必要性が示唆された。

この研究成果は,シフトのタイプによって健康への影響の大きさが異なる可能性を示唆する研究事例であり,今後さらに解析を進めることで,概日リズム障害と疾患リスク上昇の因果関係に迫り,関連疾患に対する予防策の開発や,心身への負担が少ないシフト解明に繋がることが期待されるとしている。

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