ソニー,全周囲をモニタするエンタテイメントカーを開発

ソニーは,新たな移動体験の提供を目的とした New Concept Cart(ニューコンセプトカート)「SC-1」を試作開発した(ニュースリリース)。「SC-1」は乗員の操作による運転に加え,クラウドを介して遠隔からの操作でも走行ができる。

人の視覚能力を超えるイメージセンサーを車両前後左右に搭載し,人が視認しながら運転する一般的な自動車と違い,360度全ての方向にフォーカスが合された映像で周囲の環境を把握できることに加え,搭載したイメージセンサー(35mmフルサイズ「Exmor R®」CMOSセンサー×5台)の超高感度な特性と,内部に設置された高解像度ディスプレー(4K×5台)により,乗員は夜間でもヘッドライトなしに視認できる。

また,イメージセンサーで周囲を捉えていることから窓が不要となり,代わりにその領域に高精細ディスプレーを配置することで,様々な映像を車両の周囲にいる人に対して映し出すことができる。さらにイメージセンサーで得られた映像をAI(人工知能)で解析することでインタラクティブに発信する情報を変化させることができる。この機能により,車両周囲にいる人の性別・年齢などの属性を判断して,最適な広告や情報を表示することなども可能。

さらに,自社開発の融合現実感(Mixed Reality)技術を搭載。乗員がモニターで見る周囲の環境を捉えた映像に,様々なCGを重畳することで,従来の自動車やカートでは景色を見るだけであった車窓がエンタテインメント空間に変貌し,移動自体をより楽しめるようになる。

イメージセンサーと共に,超音波センサーと二次元LiDARを搭載。ネットワーク接続されたクラウド側には走行情報が蓄積され,ディープラーニングで解析することで,最適な運行アシストに繋げるとともに,車両に搭載した複数のセンサーからの情報をエッジ・コンピューティングで判断し,安全な走行をサポートする。

同社は,2017年9月より沖縄科学技術大学院大学学園(OIST)のキャンパスにおいて,「SC-1」の実証実験を開始した。この実証実験はOIST Integrated Open Systems Unitとの共同研究であり,各種走行試験に加え,太陽光など自然エネルギーの利用も含めた電力利用や,走行時の消費電力の低減及び最適化の考察などを行なう。

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