芝浦工大ら,レーザーで損傷を非接触に検知するシステムを開発

芝浦工業大学と北海道大学の研究グループは,構造物の損傷を非接触で高精度に検知するシステムを開発した(ニュースリリース)。

薄板構造物に伝播する弾性波の1つであるLamb波は,減衰が小さく長距離伝播するという特徴がある。そのため,航空機のような大型構造物に対する広域損傷検知を実現するために多くの研究がなされてきた。

Lamb波の生成法としては,圧電デバイスなどによる接触式,またはレーザー熱弾性などによる非接触式などがある。これらの手法は,検査対象が液体中であったり,高温下であったりすると,その適用が難しくなるという問題があった。

今回の手法では,レーザーアブレーション(Laser Ablation: LA,表面にレーザー光を照射するとプラズマが発生し,固体表面の構成物質が爆発的に放出される現象)により非接触でインパルス加振力を生成できる技術を利用することで,水中などのあらゆる場所でも検査対象にLamb波を生成できる。

このシステムを用いることで,理論値とほぼ同じLamb波を生成することに成功した。ジュラルミン平板に伝播するLamb波をレーザードップラー振動計により可視化し,その伝播を観察することで,人工的に設けた貫通亀裂を検知することにも成功した。

LAにより生成されたLamb波の振幅は,従来のものと比べ同等以上であることから,優れた信号雑音比となる。そのため,計測における平均化回数を低減でき,短時間での検査を実現できる。ただし現在のところ,LAでは,対象構造物に小さなクレーターが生成されてしまう課題があるという。

研究グループは今後,完全に非接触非破壊で,大型構造物の損傷検知を短時間で実現できるシステムの構築を目指すとしている。

その他関連ニュース

  • 理研ら,200nmを解像するX線検出器を開発 2019年03月18日
  • 京大ら,レーザーで一斉孵化のメカニズムを解明 2019年01月07日
  • 名工大,SiCの電気特性をレーザーで非破壊検査 2018年12月19日
  • 日本ライフライン,内視鏡アブレーションシステムを発売 2018年11月12日
  • 理研,中性子でコンクリート内塩分を非破壊測定 2018年10月26日
  • 横国大ら,OCTで焼結中セラミックスの内部構造を観察 2018年09月04日
  • 2018年度非破壊検査装置・機器世界市場は8,693億円に 2018年07月12日
  • パイオニア,テラヘルツで中世絵画を調査 2018年06月05日