日立化成,超小型ディスプレー向け混色素子を開発

光インテグレーター 2層に分かれているのが新製品

日立化成は,ARやVRなどに用いられるウェアラブルディスプレーの超小型光源に適した,散乱と積分によってRGB光源の光を均一にする光インテグレーターを開発した。

ウェアラブルディスプレーなどに用いられる超小型光源は,RGBのレーザーやLEDの光を混色して投影するが,その際にダイクロイックミラーを用いた方式が多く用いられている。この方式は光をダイクロイックミラーを介させるために,光源を色ごとに別の場所に配置する必要があり,モジュールの小型が難しい。

同社が開発した光インテグレーターは,透明樹脂内に屈折率の異なる粒子を散乱させたロッド状の光学素子。一端からRGB光を入れると光は粒子により散乱し,もう一方の端面に向かって全反射を繰り返すので出力光は光源の色が均一に混ざった状態となる。このとき粒子による散乱はミー散乱なので,光は前方へと効率よく散乱する。

ダイクロイックミラー方式との違い

この光インテグレーターを用いれば,RGBの光源を並べて配置することができるため,光源モジュールの混色部の体積を,ダイクロイックミラー方式に比べて1/2に小型化することが可能だとしている。混色に必要なロッドの長さは<4㎜。端面の面積は1×1mmを最小として,光源に合わせて0.1mm単位で調整できるという。4×1×1mmの光インテグレーターの重さは<0.005gとなっている。

同社ではこの製品の前バージョンを製品化しており,ウェアラブルディスプレーに採用実績がある。ただし,光の利用効率はダイクロイックミラー方式に対して60%ほどだったため,今回,ロッドの8割程度を透明にし,残りの部分に粒子を分散させたタイプを開発,これによりダイクロイックミラーに対して90%程度の効率を実現した。

ダイクロイックミラー方式(右)との性能比較

小型化が可能な光インテグレーターだが,その他の特長として,光源との組み立て精度がそれほど必要でないこと,光源をまとめることで,レンズなどの部品点数を減らせるといった点がある。また,同社では出射側の端面に微細構造を設け,光の広がり角をコントロールすることも提案している。

今後は効率の向上が最大の課題となるが,同社では医療用など出力光の均一化が求められるアプリケーションもターゲットに拡販を進める。同様の機能を持つ別方式のデバイスとしてNTT福井大学も研究を進めており,採用に向けた競争の激化が予想される。

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