業界初!高速出力変調モジュール内蔵,多光子励起顕微鏡向け光源

Chameleon Discovery

コヒレント・ジャパンは,バイオ分野に携わる大学や研究機関で利用されている多光子励起(マルチフォトン)顕微鏡用途に適した,2波長出力ハイパワーフェムト秒レーザー「Chameleon Discovery シリーズ」をバージョンアップ。新モデルの発売と共に,既存モデルの波長範囲と出力をアップした(製品ページ)。

バージョンアップした「Chameleon Discovery シリーズ」の2つの出力のうち,波長可変部は660~1320nmに波長領域を拡大し,パルス幅100fs,最大出力1.6W@800nmと強化されている。波長固定部の出力は,波長1040nm,パルス幅140fs,最大出力は3.5Wまで上がった。また,従来標準機能である群速度分散補正機能(GDD)によりサンプル上で最大のピークパワーを維持することができるため,バイオイメージングにおいて重要な安定した観察が可能となる。

よりハイパワーのフェムト秒レーザーを用いることで,同じグループの複数のニューロンを同時に活性化することができる 画像提供:ユニバーシティカレッジロンドンHausser研究室

さらに,同社は業界初となる, Total Power Control (高速出力変調モジュール,以下TPC)を内蔵した新モデル「Chameleon Discovery with Total Power Control」を発表。波長可変出力,波長固定出力の両方に対して高速な出力変調が可能となる。アナログ信号入力およびGUIの操作のみで,レーザーヘッド内のAOMをコントロールし,且つ波長ごとのRF周波数とRFパワーの最適化をすることによって,出力調整が得られる。これにより,これまで顕微鏡側での調整が必須であった外付けのモジュレータやAOMの準備が不要になった。

TPCによって絶妙なビームパラメータを維持しながら高出力のビームを顕微鏡の走査ヘッドに直接入力することが可能になった。速い立ち上がり及び優れた消光比の特性をもつ内蔵変調素子(AOM)が,シャープ且つノイズフリーなイメージングを確実にし,3次元構成(z-stacks)の明瞭な画像調整やフライバックブランキング等へのパワーコントロールを可能にした。

Chameleon Discoveryで得られた,画像2つの波長を使用することで得られる利点の一例。膵臓組織におけるイメージング: 励起波長1040nmでのSHGシグナルでコラーゲン表面を画像化し,同時に,RaichuracバイオセンサーをFRETプローブとして用いて励起波長830nmで腺窩細胞を画像化している 画像提供:Glasgow Beatson Inst.,Ewan McGheeおよびKurt Anderson氏

バイオイメージングの世界では新たな観察法が次々に開発されており,特に生体組織の深部イメージングでは,さらに深く,さらに鮮明な画像を得ることができる方法が模索されている。多光子励起顕微鏡は生体深部を探るバイオイメージングの代表的な手法の一つであるが,このような要望に応えるためにも,顕微鏡の光源である短パルスレーザーの性能向上が求められている。

多光子励起顕微鏡で求められるレーザーの特性として,まず「長い波長」があげられる。一般的に生体内において光の散乱は1/λ4(波長の4乗の逆数に比例)する。つまり,より長い波長の光を用いることで,散乱を抑えつつ,より深部のイメージングが可能になる。また,蛍光標識などのラベルも長波長に対応するものが多く登場してきているほか,光刺激では長波長で刺激するチャンネルロドプシン(C1V1)等も登場しており,そのニーズは高い。

また,「高出力・短パルス」であることも重要な指標となる。これは一つに,非飽和時の蛍光プローブの放射はレーザーのピークパワーと平均パワーの積に比例することがある。より明るくSN比の高い画像を得られるということは,より深い部位の画像を得ることにつながるからだ。また,より広い範囲を映像化するための高速サンプリングと十分なSN比の画像を得るためには,十分なパワー(数ワット)が重要な要素となってくる。

Chameleon Discovery レーザー出力(典型値)

さらに「多波長で発振」することができれば,異なる多くのラベルに対して1台のレーザーで対応できる。バイオイメージングの世界では日々様々なラベルが開発されており,必要な波長も異なる。それらに対応するためには様々な波長の高価なフェムト秒レーザーが必要となるが,複数の研究者がそれぞれの研究を行なっているような現場では,波長可変域が広いレーザーの利便性が高いのは言うまでもない。

加えて最近では「2つの異なる波長」を使うイメージングが増えており,ここで「Chameleon Discovery シリーズ」の最大の特長である2つのレーザーが威力を発揮する。例えば2波長での光コヒレンシーを使う方法や,2つの異なる蛍光プローブを用いる方法などがそうだ。

Chameleon Discovery with TPC レーザー出力(典型値)

特に医療応用では自家蛍光のような非侵襲的なラベルを用いたイメージングが求められるが,こうした場合の微弱な蛍光シグナルに対しても,異なる波長のシグナルを組み合わせることで,イメージングの信頼性を高めることができる。

「Chameleon Discovery シリーズ」の高い出力は,脳皮質の可能なかぎり深い部分のイメージングにも適している。2つの出力の効果的な使用例として,1040nmで光受容体であるC1V1のようなオプシンを刺激しながら,もう一方の920nmでG-CaMPを使用してプロービングを行なう観察方法がある。このタンパク質は1040~1100nm領域では感度が低く,1040nmによるクロストークを避けることができる。このように,「Chameleon Discovery シリーズ」の2つの異なる波長,短いパルス幅,長い波長,高出力は,より多くのニューロンを対象とする高度な光遺伝学にほぼ完全なソリューションを提供している。

長年にわたり,ライフサイエンス分野でのイメージング技術を発展させてきたコヒレント社は,研究者がレーザーの設置や調整に時間を割くことなく,研究に専念できるように,より簡単で高性能な装置の開発を続けている。飛躍的に進化した「Chameleon Discovery シリーズ」によって,バイオイメージングに新たな地平が開けることが期待される。

■製品WEBサイト
http://www.coherent.co.jp/laser/femto/oscillator/onebox/chameleon/

■コヒレント社製多光子励起顕微鏡向けレーザ導入事例
・大阪大学 大学院医学系研究科 石井教授
http://www.coherent.co.jp/casestudy/case07.php
・沖縄科学技術大学院大学(OIST)ベアン・クン准教授
http://www.coherent.co.jp/casestudy/case06.php

■製品についてのお問い合わせ:
コヒレント・ジャパン株式会社 セールス 03-5635-8700
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