パイオニア,テラヘルツで中世絵画を調査

パイオニアは,同社のテラヘルツイメージングスキャナーが,2017年11月に行なわれた,エストニアの首都タリン市にあるニグリステ国立美術館などの所蔵品の科学調査に活用されたと発表した(ニュースリリース)。この調査は,情報通信研究機構(NICT)の国際連携活動として行なわれたもの。

テラヘルツ波は,布や紙,木,プラスチック,陶磁器を透過する一方,金属や水は透過しない,光と電波の特性を兼ね備えた電磁波。その特性を活かした同社のテラヘルツイメージングスキャナーシステムは,小型で軽量な本体部とヘッド部,高精度なスキャンメカニズムで構成されており,さまざまな大きさや形状の絵画を計測することができる。

このシステムを使うことで,従来は作品から微量のサンプルを切り出して顕微鏡で観察するしかなかった作品の断面構造も,貴重な作品を破壊することなく,かつ非接触で画像として取得することができる。

今回,このシステムを使って,1997年にユネスコ世界遺産(文化遺産)に認定された聖ニコラス教会に展示されている中世美術の傑作,バーント・ノトケ(Bernt Notke)作「死の舞踏(Danse Macabre)」(ニグリステ国立美術館所蔵)などを調査した。この調査により,絵画層と考えられるキャンバスが複数の層からなることが明らかになり,今後,1960年代の修復の手法と効果の検証に役立てられるという。

そのほか,国立文化財機構奈良文化財研究所の「高松塚古墳壁画」,NICTのプロジェクトとして実施されたフラ・アンジェリコ(Fra’ Angelico)作「受胎告知(La Anunciación)」(イタリア フィレンツェ市,サンマルコ美術館所蔵)の計測・調査にもこのシステムが活用された。

同社では今後も,日本や世界各国の貴重な文化財の計測・調査に携わることで文化財保護に貢献するとともに,一般建造物の剥離確認用途やセキュリティ用途など,テラヘルツ波を有効に活用できるさまざまな用途の検討を進めていくとしている。

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