東大ら,反強磁性スピンを小さな磁場で操作

東京大学,米テネシー大学,米ブルックヘブン国立研究所,米アルゴンヌ国立研究所,チェコ カレル大学は共同で,反強磁性スピンを小さな磁場で操作することに初めて成功した(ニュースリリース)。

これまでの多くの磁性デバイスは強磁性スピンを用いたものだが,もし反強磁性スピンを利用することができれば,より高速にスイッチング可能な大容量デバイスができると期待されている。しかし通常,反強磁性体は正味の磁化を持たないため,磁場に対して大きく応答しない。そのため反強磁性スピンの操作は長い間難しい問題となっていた。

研究グループは,ジャロシンスキー守谷相互作用を利用するために,擬2次元系(SrIrO31/(SrTiO32を超格子中に作成した新しい物質を利用することで,この問題を初めて解決した。スピン間の相互作用係数と比較して,わずか0.1%以下の非常に小さい磁場で反強磁性秩序をスイッチングすることに成功した。

さらにこのメカニズムを理論的に説明し,コンピューターによる計算を用いて定量的に解析した。反強磁性スピンの磁場による操作を可能としたこの研究の成果は,今後の高性能デバイスの開発につながるとしている。

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