広島大ら,ブラックホールからの硬X線放射の偏光観測に成功

広島大学,東京大学,名古屋大学,早稲田大学ら,日本とスウェーデンのPoGO+(ポゴプラス)国際共同研究グループは,ブラックホール連星系である「はくちょう座X-1」からの硬X線放射の偏光観測を実施した(ニュースリリース)。

この際,これまで技術的に観測が困難とされていたX線やガンマ線の偏光観測を直径100mにも膨らむ気球にゴンドラを搭載して実現し,硬X線の帯域において世界で初めて信頼性の高い偏光情報を得ることに成功した。

この結果,「はくちょう座X-1」において,恒星からブラックホールに吸い込まれている物質は相対論的な効果を強く受けておらず,ブラックホールまで約100kmの位置から内側では広がった幾何構造をしていることが明らかになった。

従来の時間変動(測光)やエネルギー(分光)の観測だけでは,物質の幾何学的な構造がブラックホールの近傍では広がっているのか,コンパクトな状態で存在しているのかの判断が困難だったが,今回,硬X線の偏光観測に特化した検出器での偏光観測という新しい手段によって,前者であることが強く支持されることになるという。

今後は,改良した気球実験や人工衛星のX線偏光の観測結果,理論研究から,様々な質量のブラックホール(太陽質量の数倍から100億倍もの超巨大サイズ)において,ブラックホールに吸い込まれつつある物質が重力の影響をどのように受けているが明らかにされ,中心に存在するブラックホールの特性(自転速度)やブラックホールが及ぼす相対論的な効果(時空のゆがみ)などの理解が進むと期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • 京大ら,X線で金属の凝固過程をリアルタイム観察 2019年07月19日
  • 京大ら,太陽でもスーパーフレアが発生しうると解明 2019年07月16日
  • 理研ら,銀河団衝突の瞬間を初めて観測 2019年07月09日
  • 東大ら,光電子増倍管でガンマ線を観測 2019年07月05日
  • メナード,X線散乱でコラーゲンの微細構造を解析 2019年07月02日
  • 北大,レーザー干渉計で宇宙ダストの由来を解明へ 2019年07月01日
  • 東北大ら,硬X線光電子分光でMgOの化学結合を解明 2019年06月28日
  • 東北大ら,HSCで銀河系の端を捉えることに成功 2019年06月24日