東大IPC,QDレーザに1億円を出資

東京大学協創プラットフォーム開発が運営する協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合(IPC1号ファンド)は,革新的な量子ドットレーザ技術を基盤に世界最先端の半導体レーザ部品やその応用製品を開発・製造・販売している東大関連ベンチャーのQDレーザに対し,約1億円の出資を行なったと発表した(ニュースリリース)。

同ファンドは,東京大学関連ベンチャーの育成促進と,東京大学を取り巻くベンチャーキャピタルの質・量の充実を中心に据えて運用を行なうことで,東京大学の周辺に持続可能なイノベーション・エコシステムを構築し,世界のベンチャー創出拠点の一つとなることに寄与することを目的としている。

その具体的な運用として,シード・アーリーステージの東京大学関連ベンチャーをハンズオンで支援する複数のベンチャーキャピタルへのLP出資(ファンド オブ ファンズ)を行なうとともに,並行してミドルステージ以降の東京大学関連ベンチャーへの直接投資も進めている。

QDレーザは,2006年に富士通研究所のスピンオフベンチャーとして設立され,世界で初めて通信用の量子ドットレーザの開発と量産に成功するとともに,精密加工用ピコ短パルスDFBレーザ,生命科学用の緑・黄緑・橙色レーザなどの製品を開発し,製造・販売してきた。また,最近ではシリコンフォトニクス(シリコン光回路)用の量子ドットレーザアレイや,網膜走査型レーザアイウェアなど世界最先端かつ独創的な製品を生み出している。

シリコンフォトニクスは,LSIなどのシリコン上に発光素子や受光器,光変調器といったデバイスを集積する次世代の技術で,今後の大きな発展が期待されている。汎用の量子井戸技術による半導体レーザはLSIの動作温度(~125℃)で安定動作しないという課題があるが,QDレーザの量子ドットレーザは100℃以上の高温でも安定動作可能で,シリコンフォトニクスに不可欠な基盤部品として期待されている。

また,網膜走査型レーザアイウェアでは,微弱なレーザを人の目の網膜へ直接投影することで画像を認識させる技術を,世界で初めて商用製品として実現。眼鏡の内部に実装可能となるまで小型化された,安全性を十分考慮した超微弱な出力のレーザープロジェクタを実現し,製品化した。フォーカスフリー(目の焦点調整が不要)で,屈折異常や角膜混濁,白内障の患者や弱視者などのQOL(Quality of Life)を大きく改善することが期待されている。

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