【OPTO TAIWAN】業界の成長を助ける台湾区光学工業労働組合

台湾区光学工業労働組合は42社が参加する,30年の歴史を持つ光学業界団体。現会長は亞洲光學社長の林泰朗氏が務めている。

台湾の光学業界は政府もその育成に力を入れており,補助金や助成金などの制度を設けている。ただしその手続きは1社で行なうには煩雑なため,この工業会はこうした申請の手助けをするのが主な役目となっている。工業会も円滑なサポートを行なうため,政府とも良好な関係を築いているという。

他の役割としては,海外から光学製品の問合せ窓口となっており,その内容に照らし合わせて最適な会社に紹介を行なっている。また,教育活動にも力を入れており,光学材料や光学設計,映像,光通信といった講習を年に12回程度行なっている。また,OPTO TAIWANでは大型のブースを出展し,会員は無料で展示を行なうことができるという。

年会費は日本円で13万円以下で,これはこの組合を通じて得られる補助金/助成金を下回る額だという。会員企業には大企業だけでなく中小企業もあり,光学部品以外にも設備の企業も参加する。また,台湾に支社や事務所といった窓口(工場不可)があれば日本の光学関連企業も参加可能で,現在日本からは1社がメンバーに入っているという。

会長の林泰朗氏は現在の台湾の光学業界について,2010年が一つの分岐点になったと見ている。この年を境にデジカメの市場はスマートフォンに大きく浸食され,2010年に1憶4,500万台だった出荷数量は,2014年には2,500万台にまで落ち込んでいる。これによって台湾の光学部品メーカーは10%が倒産する厳しい時代が続いた。

2015年にやっと淘汰が終わり市場は安定期に入る。この時期を通じて台湾の光学業界はそれまで売上至上主義だったのが,製品に高い付加価値を付けることで利益を得るスタイルに変わっていったという。例えば車載用レンズ,監視カメラ,一眼レフ用レンズなどの製品を作るようになっているほか,LarganやGeniusといったスマートフォン用レンズで頑張る企業も現れた。

今後,中国との激しい価格競争が懸念されるが,今後は光学に関するあらゆる産業分野において,台湾の企業が品質のレベルで上位30%に入れるようにしたいとしている。品質と技術力に寄る付加価値こそが台湾の光学業界の生き残る道だとする。現状では国内で部品をすり合わせてモジュール化する点においてまだ中国より優れており,こうした点でも頑張っていきたいという。

さらに,政府系の研究開発機関には多額の税金が投入されているが,台湾ではこうした機関による成果は民間に開放されておらず,こうした技術を転移するように働きかけていくこともしたいとしている。