京セラ,チップ型の細胞分離・濃度計測デバイスを開発

京セラは,自動で血液などから特定の細胞を分離して濃度を計測するチップ型の「細胞分離・濃度計測デバイス」の開発に成功した(ニュースリリース)。

ライフサイエンス分野では今後,早期診断や予防医療のための次世代検査が一般的となり,その市場は10年後にはグローバルで約1兆5,000億円規模になると見込まれている。

一方,研究開発に必要な検査・分析の前工程では,経験を積んだ熟練技能者が専用試薬の調合や研究機器の操作などを行なわなければならず,人材の不足や作業の効率化などが大きな課題となっている。

今回開発したデバイスは,血液などから遺伝子を含む細胞を分離し,細胞濃度を計測する工程に使用する。例えば,遺伝子を含む白血球を用いる検査の前工程では,超微細な流路を形成するプレート型のこのデバイスに血液を流すことで白血球とそれ以外の細胞とを分離して白血球のみを抽出する。同時に独自開発した受発光デバイスで白血球の濃度を計測する。

現在,白血球を抽出するには,熟練技能者が約90分かけて特殊な薬品や遠心分離機を使い作業を行なうが,このデバイスを機器にセットすると約30分間で自動で同じ作業を完了することができる。また,デバイスを並列に配置して一斉に処理することが可能となり,現状の作業と比べて10倍以上の高い生産性を実現することができるという。

製品の開発には,微細加工技術(フォトリソグラフィ)を活かし,超微細な流路を樹脂製のプレートに形成することで,細胞のような小さな物質を連続的に分離できるデバイスを開発した。また,細胞の計測はプリンターのトナー濃度検出用の受発光センサを応用し,超小型のLEDとPD(フォトダイオード)を同一のシリコン基板上に形成する独自技術を採用することでデバイスの小型化に成功した。

このデバイスは2019年春に生産予定。今後,需要が高まるライフサイエンス分野の研究開発での検査・分析などにおいて,作業時間の短縮や省人化を図ることができ,健康寿命などを対象とするライフサイエンス分野の発展に貢献するとしている。

その他関連ニュース

  • 東大,マイクロ流路による超並列計測を実現 2018年08月20日
  • 理研,レーザーで超高感度マイクロ流体SERSセンサーを作製 2018年05月02日
  • シャープ,光で老化物質を検出するセンサーを開発 2017年08月04日
  • 理研,マイクロ流体素子内部に金属配線をレーザーで作成 2017年02月28日