筑波大,動脈硬化のライブイメージングに成功

筑波大学と独ボン大学の研究グループは,蛍光タンパク質iRFPを動脈硬化病変部に発現させて,病変部が光るマウスを開発した(ニュースリリース)。

動脈硬化は心疾患や脳血管疾患の原因となり,血管内皮化に酸化コレステロールを取り込んだマクロファージ(泡沫細胞)が蓄積して血管を狭くする病態。

今回の研究ではこのマクロファージが蓄積することに注目し,生体を透過する近赤外光の波長を持つ蛍光タンパク質iRFPがマクロファージに発現すれば,動脈硬化病変部が可視化できるのではないかという仮説のもとに研究を行なった。

この研究に先立ち,研究グループは2014年に,iRFPを全身のすべての細胞に発現するiRFPマウスの作製に成功した。このiRFPマウス骨髄細胞を用いた移植実験により,血液細胞のみでiRFPを発現する動脈硬化モデルマウスを作製した。このマウスに動脈硬化誘導食を8週間与え続け,iRFPの蛍光を生体イメージングシステム(IVIS)により観察した。

その結果,マウスの胸部から腹部にかけてiRFPの蛍光が観察された。マウスの大動脈を取り出し,脂肪染色を行ない,動脈硬化病変部を観察してみると,iRFPの蛍光と脂肪染色で染まる場所が一致していることがわかった。

さらに動脈硬化誘導食の量を調整することにより,経時的かつ動脈硬化誘導食の量に依存してiRFPの蛍光の量が変化することがわかった。これは動脈硬化の病態の変化を,マウスを殺さずにiRFPの蛍光のみで判断できることを意味する。

研究グループは,今回の技術が実験動物のマウスを安楽死させることなく,動脈硬化に対する薬剤の効果を調べる治療法開発や,動脈硬化自体がどのように発症機序を調べる基礎研究などに役立つものだとしている。

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