OISTら,長寿命のペロブスカイト太陽電池を開発

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は,中国陝西師範大学との共同研究において,自然界に存在するペロブスカイトの結晶構造を模倣した材料や化合物を用いた太陽電池を開発した(ニュースリリース)。

太陽電池の商業化には,太陽光の電気への変換率が高く,安価に生産でき,耐久性に優れていることが必要になる。今日商業化されているほとんどの太陽電池は,約22%という比較的高いエネルギー変換効率を有する結晶シリコンから作られている。ただし,このような太陽電池の原料であるシリコンは,豊富にあるものの,処理が複雑で製造コストが高くなるため完成品が高価になってしまう。

今回研究チームが開発したペロブスカイト太陽電池の製造方法は,結晶シリコン系太陽電池に匹敵する効率の製造でき,シリコン系太陽電池を製造するよりも,はるかに安価ですむ可能性が高いという。

研究グループは,新型太陽電池の製造にあたり,透明な伝導性の基質を太陽光を非常に効率的に吸収するペロブスカイトフィルムでコーティングした。その際,気固反応を用いた技術を使用した。まずは基質を,微量の塩素イオンとメチルアミンガスを含ませた三ヨウ化水素鉛の層でコーティングした後,太陽電池の各セルを複数のセルからなる大きな均一パネルにした。

研究グループは,ペロブスカイト層を1ミクロンの厚さにすることにより,太陽電池の稼働寿命を大幅に延ばせることを見出した。この太陽電池を800時間稼働させた後も,エネルギー変換効率と稼働寿命はほとんど変化していないという。

さらに,コーティングをより厚くすると,太陽電池の安定性を高めるだけでなく,製造プロセスを容易にし,製造コストが下げられるという。より厚い吸収体層は,太陽電池製造の再現性をより保証する。これは,実際の工業規模での大量生産にとって重要な利点となる。

研究グループが現在直面している課題は,新しく設計された太陽電池のサイズを0.1mm2サイズのプロトタイプから,数フィート四方の大型商用パネルに拡大することであり,これには産業界との協働が必要となるという。

研究グループは,商業目的に必要となる面積よりも小さいながらも,実験段階の実証タイプよりもはるかに大きい,反応面積が12cm2の5センチ四方の基板上に複数のセルからなる新ペロブスカイト太陽電池モジュールの実用モデルを構築した。

研究グループでは,今回開発した太陽電池の実用モデルの効率が20%から15%に下がったものの,今後数年で太陽電池の機能を改善し,商業化を達成できるのではないか,と期待している。

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