電力中研,LIBSによるがいし付着物質計測技術を開発

電力中央研究所は,レーザー誘起ブレイクダウン分光(LIBS)による,がいし付着物質計測技術を開発した(ニュースリリース)。

がいしやブッシングの汚損は,絶縁性能の低下を招くことになり,電力系統の信頼性に影響を与えるため,汚損物の同定や定量計測は重要な項目。現在,がいしの汚損状況評価は,パイロットがいしの汚損採取により行なわれているが,この方法は間接計測であり,付着物質の化学組成同定のためには別途化学分析が必要となる。

LIBSを用いることにより,がいし付着物質を遠隔から計測することが可能であり,これにより課電中のがいしに対する汚損状況を直接評価できることが期待されている。

研究グループはこれまで,磁器がいしを模擬した平板サンプル(磁器製)を用い,距離20mまでの遠隔計測の可能性を示した。がいしは複雑な形状を有するため,実用化に向けては,実がいしに対するLIBS計測の適用性を評価する必要がある。

今回は,距離10mの遠隔計測において,レーザー光の焦点距離の変化が発光強度に与える影響を評価するため,平板サンプルを用いてレーザー光の焦点距離を変化させた実験を行なった。

人工汚損させた250mm懸垂がいしに対して,LIBSを用いて距離10mにおける遠隔計測を行なった。がいし下面に対し,ひだの先端部(4箇所)と谷部(3箇所)それぞれにおいて,45度間隔で8方向にレーザー光を照射し,合計56点における付着塩分中のCl(837.59nm)の発光強度を計測し,平均値を求めた。

その結果,Clの発光強度は塩分付着密度(SDD)に対して単調に増加した。また,これまでに平板サンプルを用いて計測した結果と比較し,発光強度の絶対値は異なるものの,SDDに対する発光強度の変化は同様の傾向を示した。

以上の結果により,研究グループは磁器がいしのような複雑な形状を有するターゲットにおいても,LIBSを用いたがいしの汚損度計測は適用可能であると考えられ,変電所に限らず送電設備への適用の可能性を示しており,実がいしを用いた計測においても同様の結果が期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • 千葉大,衛星リモートセンシングで異常気象を確認 2018年09月20日
  • 島津,最高感度のLIBS金属元素測定技術を開発 2018年07月06日