産総研ら,サブマイクロ球状粒子の大量合成に成功

産業技術総合研究所(産総研)は,コガネイと共同で,結晶性のサブマイクロメートル球状粒子を高い生成率で合成する技術を開発した(ニュースリリース)。

形状がふぞろいの原料粒子を分散させた液体にパルスレーザー光を照射して結晶性サブマイクロメートル球状粒子を得る液中レーザー溶融法は,金属,酸化物,炭化物など幅広い材料に適用できるが,粒子の生成率は10%以下にとどまっていた。

そこで今回研究グループは,これらの課題を解決するため液膜フロー式レーザー照射法を開発した。レーザーにはパルス当たりのエネルギーが高いランプ励起レーザーを用いた。しかしランプ励起レーザーは,パルス周波数が10~数十HzとLD励起パルスレーザーよりも少なく,あるレーザーパルスと次のレーザーパルスの間に0.01~0.1秒の時間がある。

これに対して1つのレーザーパルスの時間幅は10億分の5秒程度しかないため,分散液中の原料粒子の大半はレーザーパルスを一度も受けることなく通過してしまう。そこで,パルスレーザー光の照射断面形状を分散液が流れる方向に引き延ばしたライン状にし,全ての原料粒子がそのラインのどこかでレーザーパルスを受けられるようにした。

さらに,スリット状ノズルを開発し,表面が親水性のスリット壁に分散液を伝わせて,パルスレーザー光の進入方向の長さが1mm未満の薄い液膜状の流れを得た。従来の円柱フロー式では,表面張力のため分散液は太さ1mm以上の円柱状となり,横から照射したパルスレーザー光の強度が分散液を通過する間に減衰し,パルスレーザー光の出口付近では強度が不足していたという。

また,スリットの壁で分散液が挟まれているため,分散液の流れる速度を抑え,全ての原料粒子が約3回のレーザーパルスを受けられるようにできた。一方,円柱フロー式では重力のため,ある速度以下に流速を抑制できなかった。

今回開発した液膜フロー式レーザー照射法により,非晶性ホウ素,結晶性酸化銅,結晶性銀を原料粒子として球状化を試みたところ,いずれの原料粒子でもサブマイクロメートル球状粒子が得られた。ホウ素を除き,球状粒子がいずれも結晶性であることも確認した。生成率は90%前後で,いずれも1時間あたり200mg近くの生成量であった。

従来のバッチ式レーザー照射では,生成率は7%前後,1時間あたりの生成量は7mgと見積もられ,液膜フロー式レーザー照射法では結晶性サブマイクロメートル球状粒子を高効率で合成できるといえる。将来,産業用レーザーを用いれば,1台の装置で1日50gの合成も可能になるという。研究グループは今後,企業に対して,一般的な機能評価が可能となる10g程度の試料を提供し,プロトタイプの試作などといった応用研究に共同で取り組む。

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