千葉大ら,光渦で螺旋ポリマーファイバーを作製

千葉大学,英セントアンドリュース大学,米アリゾナ大学の研究グループは,光渦を紫外硬化樹脂に照射するだけで「螺旋ポリマーファイバー」が自己組織的に創成できることを世界で初めて発見した(ニュースリリース)。

研究グループは,光渦という特殊なレーザー光を金属・半導体・アゾポリマー薄膜などの物質に照射すると,物質表面がキラルな螺旋構造に変化する現象が起こることを発見した。しかし,その発現は固体-気体などの界面に限られており,物質の内部を螺旋構造に変形させることはできなかった。

今回の研究では,光照射によって液体から固体に硬化する光硬化性樹脂に光渦を照射すると,硬化する過程に光渦の角運動量が作用して螺旋状のポリマーファイバーができることを世界で初めて実証した。

この成果は,光渦の角運動量が物質の表面だけではなく内部にも作用することを示すもの。また,物質表面の変形という単なる物理現象ではなく角運動量が光重合という化学反応にも作用することを示しているという。今回できたファイバーの長さは現在のところおよそ140μmだが,原理的にはミリメートルからセンチメートルまで長くできる可能性があるとしている。

また,光渦の軌道角運動量の符号を反転させるとファイバーの螺旋の捻じれ方向,つまりキラリティーを変化させることもでき,角運動量の大きさを大きくすると,DNAの2重螺旋構造のような分岐したファイバーも創れる。さらに,理論シミュレーションにより螺旋ファイバーの形成過程も明らかにした。

研究グループは,今後,照射する光渦の波長や光硬化性樹脂の種類を目的に合わせて最適化すれば,長尺の螺旋ポリマーファイバーも容易に実現できるとし,光渦モードを安定に空間伝播できるファイバーとして,大容量空間多重光通信や超解像レーザー顕微鏡用のための伝送用ファイバー,また,光渦レーザーやDNAシミュレーターなどにも幅広い応用が期待できるとしている。

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