2017年PETフィルム市場,前年比102.3%の553,890t

矢野経済研究所は2017年から2018年にかけての高機能フィルム市場を調査し,国内外の主要(日本,韓国,台湾)メーカーの工業用PETフィルム出荷量推移,製品セグメント別の動向,参入企業動向を明らかにした(ニュースリリース)。

それによると,2017年の工業用PETフィルム市場規模(メーカー出荷数量ベース)は,前年比102.3%の553,890tとなった。このうちディスプレー部材及びその生産工程で使用される副資材向けの光学用は全体の41.9%を占める232,200t,光学用以外の一般産業用は全体の58.1%の321,690tであった。

2017年の光学用PETフィルム市場に占める部材用の比率は54.3%(126,200t),副資材用の比率は45.7%(106,000t)であった。前年の2016年では,部材用の比率が57.7%(134,810t),副資材用の比率が42.3%(98,650t)であり,部材用の比率が低下し副資材用が増加しているという。

光学部材は主力用途であるLCDバックライト部材の構成変化による搭載数の削減や薄肉化によりディスプレー1台当たりのPETフィルム使用量が減少していることに加え,安価な中国ローカルメーカー製品が販売量を拡大しており,高機能製品を展開する日本,韓国,台湾メーカーの注力分野ではなくなっているとする。

光学用PETフィルム(部材用,副資材用)の需要を見ると,かつての主力製品であった高透明・易接着の光学部材向けグレードの需要は年間2ケタ近い縮小率で推移しているものの,プロテクトフィルム,リリースフィルムなどの副資材向けグレードは安定的に成長しており,トータルではコンスタントに年間23万t前後の需要量を維持している。

光学部材向けグレードのうち,光拡散フィルム,プリズムシート,反射板といったLCDバックライト部材や,ITOフィルム,飛散防止フィルムなどのタッチパネル部材向けは,LCDバックライトの設計変更やスマートフォンでのフィルムセンサータイプの台数減少,価格競争力で勝る中国ローカルメーカーの台頭などにより需要縮小が続いている。ただ,偏光板用PVA保護フィルムだけは,ユーザーである偏光板メーカーでの採用拡大により大幅な伸びが続いているという。

プロテクトフィルム,リリースフィルムなどに使用される副資材向けグレードは,主力用途である偏光板が安定的に成長していることや,光学等方性,無異物・無欠陥などフィルムの品質に対する要求の高さから中国ローカルメーカー勢が参入してこないことなどにより,比較的堅調に推移している。

一般的に,フィルムメーカーは事業規模が大きいほど保有設備も多く,この稼働率を維持することが事業の安定につながった。多くのメーカーでは設備稼働率をアップすべく,光学,エレクトロニクス,一般産業など幅広い用途に向けたグレードを扱い,付加価値の低いボリュームゾーンを抱えているが,ボリュームゾーンを抱えながらの最先端開発には限界があると指摘する。

今後はたとえ大手メーカーであっても,従来のような全方位をカバーする事業展開ではなく,自身が強みを持つ高付加価値分野に特化し,そうでない部分はボリュームゾーンでの価格競争力に優れた新興国メーカーへと外部委託などを検討する必要があるだろうとしている。

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