NAOJ,中性子星連星をつくる特徴を示す超新星を発見

国立天文台(NAOJ)は,中性子星どうしの連星が作られる理論で予測された特徴を示す超新星を,過去の観測データから発見した(ニュースリリース)。

2017年に重力波と電磁波によって初めて捉えられた中性子星どうしの連星は,作られる条件が大変難しいと考えられており,その形成過程はこれまで明らかになっていなかった。

中性子星は,大質量星が進化の最終段階で重力収縮が進み超新星爆発を起こした際に作られる超高密度な天体。二つの中性子星から成る連星が形成されるためには,連星を作る二つの大質量星それぞれが超新星爆発を起こす必要がある。二つのうちより重い星が先に爆発をして中性子星が作られる。

この際には,連星系の一部の物質が放出されるのみだが,引き続き残りの星が通常の超新星爆発を起こすと,連星系を作る物質が一気に失われ力学的に不安定になる。その結果,連星系が壊れてしまい中性子星どうしの連星が形成されないという。

研究グループは,後から超新星爆発を起こす星は先の爆発で作られた中性子星の重力の影響で,水素やヘリウムでできた星の外層がほとんど剥がれてしまう場合があり,この状態で超新星爆発を起こすと,爆発で放出される物質がきわめて少ないために力学的に不安定にならず,連星系が壊れることはなく,中性子星どうしの連星が形成されると考えた。

さらにこの場合,後から爆発する星は爆発の直前に希薄な広がったヘリウムの層を周りに形成する可能性があることも指摘した。このように外層がほとんど剥がれた星が起こす超新星爆発についてシミュレーションを行なった。爆発のエネルギーが通常の超新星爆発の10分の1程度と小さく,超新星爆発後5日から10日後の間に最も明るくなった。さらに具体的なスペクトルの時間変化などについても予測できた。

そして,このシミュレーションで予測した天体とたいへんよく一致する超新星が,パロマー突発天体観測プロジェクト(iPTF)の観測データからこのたび発見された。米カリフォルニア工科大学の研究チームが2014年に観測した超新星「iPTF14gqr」で,この超新星は,通常の超新星よりも爆発エネルギーが小さく,爆発時に放出された物質がきわめて少ないことを示した。

さらに,超新星爆発後に行なわれた分光観測から,この天体の周囲には希薄なヘリウムの層が広がっていることが分かった。これらの観測結果は,シミュレーションで予測した外層が大きく剥がれた超新星の特徴とよく一致している。これは,中性子星どうしの連星を形成すると考えられる超新星爆発を,世界で初めて捉えた観測だとしている。

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