浜ホト,小型の高出力・高繰り返しレーザーを開発

浜松ホトニクスは、従来の励起用半導体レーザーの出力を3倍に高め,テーブルトップサイズながら1Jと高出力で300Hzの高繰り返しでパルスレーザーを照射できるパワーレーザー装置を開発した(ニュースリリース)。

レーザーは生産効率を向上させるため,ファイバーレーザーやCO2レーザーなどさまざまなレーザーにおいて高出力化が進められている。レーザー加工の分野ではCW(Continuous Wave)レーザーが主流となっている。一方パルスレーザーはCWレーザーとは異なる新たなレーザー加工への応用に向けた開発が行なわれている。

しかし,半導体レーザーを励起用光源に用いる高出力,高繰り返しのパルスレーザー装置は,半導体レーザーが高価なことから実用化が難しく,市販のジュール級パルスレーザー装置の励起用光源にはランプが用いられているため,レーザー内部に強い熱影響が発生し,繰り返し周波数は10Hz程度に限られていた。

今回,独自の結晶成長技術とコーティング技術により,従来の励起用半導体レーザーの出力を世界最高クラスの300Wまで高めるとともに,レーザー媒質の長さや断面積を工夫し冷却効率のよい設計を増幅器に採用したことで,熱によるレーザー媒質の損傷や破壊という課題をクリアし,従来の増幅器よりも3倍の出力を取り出すことに成功した。また,半導体レーザーを励起用光源に用いることでランプを用いる市販のパルスレーザー装置と比べ,電気から光へのエネルギー変換効率を約10倍,励起用光源の寿命を約100倍とした。

さらに,部品点数を抑えることで安定した出力と装置のコンパクト化,低コスト化に成功した。レーザー装置の出力は,装置のサイズ,繰り返し周波数と相反関係にあるが,この装置は小型ながら高出力,高繰り返しを実現しているという。

同社はこの装置により,部材に付着した細かな汚れを除去するレーザークリーニングなど従来加工の生産効率を高めることができ,航空機の金属材料などを金型を使用せずに変形加工できるレーザーフォーミングや金属部品の使用寿命を延ばすレーザーピーニングなど,産業分野におけるパルスレーザーの新たな応用が期待できるとしている。

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