凸版,ライトフィールドを用いたHMD技術を開発

凸版印刷は,VRを活用したロボットの遠隔操作用途に向け,ライトフィールド技術を用いた新しいヘッドマウントディスプレー(HMD)モジュール「TransRayTM(トランスレイ)」と,3Dセンサーで撮影された3次元シーンをライトフィールド情報へリアルタイムに変換する描画エンジンを開発した(ニュースリリース)。

ライトフィールドは光線空間とも呼ばれ,3次元空間における視覚情報を,空間中を伝わる光線の情報として再現したもの。ライトフィールド技術の応用では,撮影後に任意の焦点画像を作り出すライトフィールドカメラや裸眼立体ディスプレーなどがある。

近年,VRやMR(複合現実)といった仮想空間を扱う技術を活用したゲームやアトラクションなどが普及し,HMDも盛んに使用されている。VR関連のヘッドセットの出荷台数は2020年に3500万台,2022年には7000万台近くが見込まれているという。

さらに「インダストリー4.0」が提唱され,製造分野での生産性や安全性の向上が求められるなか,ロボットや建機などを遠隔操作するニーズも高まっている。仮想空間と現実空間を相互にリンクさせるサイバーフィジカルシステムとして,HMDの産業用途への応用が期待されている。

しかし従来のHMDは,VR映像を視聴した際に特有の酔いや疲労を引き起こし,長時間の利用ができないという問題点が指摘されている。

人間が立体を視認する際は,両眼視差による奥行き知覚と単眼のピント調節による奥行き知覚の両方を統合して認識している。従来のHMDでは,両眼視差による奥行き知覚のみ対応し,ピント調整による奥行き知覚には対応できていないことから両方の視覚特性の間で差異が発生し,これが酔いや疲労の大きな要因の一つになっている。

今回,同社はこの問題を解決するためライトフィールド技術を活用し,画像表示装置と画像処理を組み合わせ,ピント調節の情報を伝達できる特殊なディスプレーを開発。対象空間の光線情報をリアルタイムに表示することでピント調節による奥行き知覚に対応できる。これにより自然な見え方に近くなり,酔いや疲労の軽減に期待できるとしている。

さらに同社と大阪大学との共同研究ではこの「TransRayTM」を使用した場合,従来のHMDでは反応しなかったピントの調節機能が両眼視差と連動して反応し,さらに単眼においてもピントの調節反応が出るということが医学的に証明されたという。

同社は今後この製品の研究開発を進め,2020年度の実用化を目指すとしている。

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