名工大,ロドプシンの吸収波長を予測するAIを開発

名古屋工業大学は,光を吸収する機能を有するタンパク質であるロドプシンの吸収波長をアミノ酸配列に基づいて予測するコンピュータアルゴリズムを,データ駆動型人工知能(機械学習)によって開発した(ニュースリリース)。

さらに,予測をもとにロドプシンの一部を改変し,従来よりも長い吸収波長を持つ変異型ロドプシンを作製することに成功した。

ロドプシンタンパク質は,分子内部にレチナールと呼ばれる色素を結合し,特定の波長の光を吸収できるため,動物の神経活動や行動を光で制御する光遺伝学などで重要な役割を担う機能性タンパク質として知られている。

太陽光の中でもロドプシンタンパク質は特定の波長を吸収する機能を有し,ヒトを含む動物の視覚において光を捉え脳に情報を伝達するほか,細菌などの微生物において光のエネルギーを使って細胞内外にイオンを輸送するなど様々な役割を持つタンパク質。自然界には6千種類を超える様々なタイプのロドプシンタンパク質が存在する。

また,ロドプシンタンパク質の吸光機能は光遺伝学とよばれる神経科学分野のツールとして有用であり,自然界に存在する野生型のロドプシンタンパク質のアミノ酸の一部を人工的に改変し,目的に応じた吸光波長を持つ変異型ロドプシンタンパク質をつくる試みもなされている。

研究グループはこれまでの研究成果をまとめ,796種の微生物由来のロドプシンタンパク質に関するデータベースを構築した。このデータベースには各ロドプシンタンパク質のアミノ酸配列と吸光波長が記録されている。

この研究では,このデータベースを訓練データとして用い,データ駆動型人工知能技術によってロドプシンタンパク質の吸光波長を予測するためのコンピュータアルゴリズムを開発した。

データ駆動型人工知能とは過去のデータを訓練データとして新たなデータを予測するための機械学習と呼ばれる技術。この研究では,特にグループスパース正則化と呼ばれる機械学習アルゴリズムを用いることで,ロドプシンの吸光波長を高精度で予測するモデルを作成した。

この予測モデルを利用することで,吸光波長のわかっていないロドプシンファミリーに対し,平均誤差が7.8nmで吸光波長を予測できることを示した。また,機械学習モデルを分析することで吸光波長の制御に強く影響を与えるアミノ酸に関する生物学的知見を得ることができたという。

さらに,予測モデルをもとに野生型ロドプシンの一部のアミノ酸を改変し,従来よりも長い吸光波長を持つ変異型ロドプシンを作製することに成功した。研究グループは,この研究により他の機能性タンパク質の機能予測や設計にも活用することができるとしている。

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