浜松ホト,100万気圧対応核融合実験ビームラインを完成

浜松ホトニクスは,レーザー核融合実験向け100J級レーザーをターゲットに照射し,そこで発生する圧力を100万気圧まで計測できる新たなビームラインを完成させた(ニュースリリース)。

同社は,レーザー核融合向けの励起用高出力半導体レーザー(LD)の開発や連続的に核融合反応を起こす高繰り返しレーザー核融合に関する基礎研究,応用研究を進めており,2014年に建設したレーザー照射棟では,100J級レーザーなどで構成されるビームラインを用いてレーザー核融合プラズマに関する基礎実験を行なってきた。

燃料に100万気圧程度の高い圧力をかけ均一に圧縮することで核融合反応を起こしやすくなることから,レーザーの照射条件を最適化し圧力をより高めるため,燃料にかかる圧力を把握する環境を整える必要があった。

今回,同社は自社製ストリークカメラを用いて,1億分の1秒と極めて短時間内にレーザーを照射したターゲットにかかる圧力が変化する様子を100万気圧まで計測するとともに,100J級レーザーの時間的な出力の変化を調整し圧力を高める環境を整えた。

現在,ターゲットにかかる圧力を30万気圧まで高めているが,今後,レーザーの出力,繰り返し周波数を高めるとともにレーザーの照射条件を最適化し,ターゲットにかかる圧力を100万気圧まで高めて核融合反応を起こしやすくすることで,レーザー核融合の実用化に向けた,高繰り返しレーザー核融合の基礎研究,応用研究をさらに進めていくという。

また,レーザー照射により発生する衝撃波で金属表面に圧力をかけ硬化させるレーザーピーニングなどのレーザー加工において,金属にかかる圧力と加工結果に関する研究を進めることで,レーザーの照射条件を最適化し加工効率を高めることができた。さらに,レーザーで炭素などに高い圧力をかけ別の物質を生成する高圧合成への応用も期待できるとする。

世界の主要なレーザ核融合施設では,レーザーを照射したターゲットにかかる圧力を計測しているが,ランプを励起用光源とする100万J級のレーザーを用いているため,ランプを冷やす時間が必要なことから1日数回のレーザー照射に限られている。

一方,同社では,ランプと比べ電気から光へのエネルギーの変換効率が高く熱が発生しにくいLDを励起用光源に用いることで現状100J級レーザを2秒に1回照射可能としており,より多くの実験データを取得することで効率的に研究を進めることができる。同社はレーザー核融合に関する基礎研究,応用研究を進める一方,新たな産業応用を開拓していくとしている。

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