阪大ら,高効率で熱を電気に変換する物質を発見

大阪大学と日立製作所の研究グループは,室温から100℃付近までの低温域で既存材料よりも高い熱電変換出力因子を示す新物質「YbSiGe」を発見した(ニュースリリース)。

昨年,研究グループは,室温付近で高い熱電変換出力因子を示す物質としてイッテルビウムシリサイド(YbSi2)を開発した。今回,YbSi2のシリコン(Si)をゲルマニウム(Ge)で置換することで性能向上を図った。

具体的には,Siの半分をGeで置換したYbSiGeが,固体中のYbの価数変動に起因して,金属的に高い電気伝導率(σ)を示しながらも絶対値で55μVK-1以上という高い熱起電力(ゼーベック係数:S)を示すことを発見した。YbSiGe程度の電気伝導率を示す材料(いわゆる一般的な金属材料)であれば,そのゼーベック係数の絶対値は通常10μVK-1程度となる。

これまで,300℃付近から高い温度域においては,多くの新しい熱電変換材料が開発されてきている。ところが,室温から100℃付近という低温域においては,既存材料であるビスマス・テルライド(Bi2Te3)を超える材料は見つかっていなかった。(Bi2Te3)は構成元素であるテルル(Te)の毒性と希少性やビスマス(Bi)の資源偏在性が問題となっている。

今回研究グループが発見したYbSiGeは,熱電発電における発電量や出力を決定する熱電変換出力因子(S2σ)という指標において,室温から100℃付近までの低温域で,Bi2Te3を超える性能を示した。

熱電発電技術は,小型・軽量,高信頼性,メンテナンスフリーといった特徴から,これまでは主に惑星探査機に搭載される原子力電池の電源として利用されてきた。

研究グループはこの研究により,薄く広く大量に存在する低品位な熱エネルギーを高品位な電気エネルギーに変換して有効活用する熱電発電技術の実用化できるとしている。

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