中部大,小脳が未来を予測して眼を動かすことを発見

中部大学は,金魚が刺激の始まるタイミングと終わるタイミングをそれぞれ別々に予測して眼を動かせることを確認した(ニュースリリース)。

金魚が,一定時間間隔で繰り返し与えられる視覚刺激に対し,予測して眼を動かせることは以前から知られていた。今回研究グループは,円筒形の水槽の中央に金魚の頭を固定。水槽の壁面に光の点状のパターン(視覚刺激)を投影して回転させ,視運動性眼球運動(OKR)を誘発する実験を行なった。

OKRとは,視野の広範囲が一定方向に動いた場合(例えば,頭を左右に動かした時など)に,その視野の動きを低減するために誘発される反射性の眼球運動。頭を右に振って,視界が左に流れる時には,眼球も左に回転し,視界の流れを追従し見ているものがブレないようになる。人を含め,ほとんどの脊椎動物でこの反射性眼球運動がみられる。

具体的には,一定時間定速で右回転,その後一定時間停止する視覚刺激を繰り返して点状パターンを3時間金魚に見せ,その時のOKRによる眼の動き(回転角度)を計測した。その結果,金魚が,視覚刺激が動き出す約2秒前に眼を動かし始め,視覚刺激が止る約2秒前から眼の動きを減速し始めることが明らかになったという。

また,刺激の回転時間か停止時間のいずれかをランダムにして,刺激の開始または終了タイミングの一方を予測不能にしたところ,金魚は刺激の終了または開始のいずれか一方だけでも予測して眼を動かせることが判明した。

次に,研究チームは運動の学習を担うことが知られている小脳を切除する手術を施した。その結果,3時間の学習で予測性眼球運動を獲得した後に小脳を切除すると,正常なOKRは誘発されるものの,予測性の眼の動きは消失した。また小脳を切除してから金魚に同様の学習をさせたところ,3時間たっても一向に予測して眼を動かせるようにはならなかった。このことから,予測性の眼の動きの獲得と記憶の両方に小脳が不可欠であると断定した。

研究グループは,今回の研究で金魚が刺激の開始と終了のタイミングを別々に予測できることを新たに示した。また、刺激の開始ならびに終了の予測には小脳が必要であることを実証した。今後,人工小脳を構築することにより,未来を予測して行動可能なロボットの開発にもつながるとしている。

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