東工大,低濃度CO2を資源化できる新触媒を発見

東京工業大学は,二酸化炭素(CO2)を捕集する機能を持つレニウム(Re)の錯体が,低濃度のCO2を還元することができる電気化学触媒として機能することを発見した(ニュースリリース)。

化石資源を燃焼させる際に排出されるCO2を,電気エネルギーで還元する反応は,排出CO2削減と資源の創出の両観点から国内外で精力的に研究されているが,従来の研究のほとんどは,純粋なCO2を用いて開発が行なわれている。

しかし,火力発電所や製鉄所,セメント製造工場などから出る排ガスにはCO2が数%から十数%しか含まれていない。そのため,従来技術では大量のエネルギーが必要なCO2の濃縮過程が必要だった。そこで,実際に排出される希薄な濃度のCO2を含んだガスをそのまま利用して効率よくCO2だけを還元できる方法が求められていた。

研究グループは,CO2を捕集する性質を持つレニウム錯体が,低濃度のCO2を還元する電気化学触媒として機能することを見出した。この錯体は,CO2を低濃度しか含んでいないガスから高い効率でCO2だけを捕集する機能を持っていた。捕集されたCO2は,炭酸エステルとして錯体に固定化される。このCO2を捕集したレニウム錯体を電気化学触媒とすることで,低濃度CO2でもそのまま還元できることがわかった。

例えば,1%のCO2を含んだガスでも効率よく還元でき,24時間の反応でCOを選択率(全生成物のうち,目的の生成物の割合)94%,ファラデー効率(電極から流れた電子のうち,目的の反応に使われた割合)85%という高い効率で生成できた。

COは化学原料として有用で,水素と反応させることで人造石油を合成することができる。この発見により,火力発電所や製鉄所の排ガスに含まれる低濃度のCO2を,大量のエネルギーを必要とする濃縮過程を経ずに,太陽光など再生可能エネルギーから変換した電気エネルギーで直接資源化できる可能性がでてきたという。

今後は,この新触媒のCO2捕集能のさらなる向上やありふれた金属である卑金属錯体の利用も視野に入れて,実用的な技術へと展開させていきたいとしている。

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