名大,太陽電池の高性能化材料を開発

名古屋大学は,太陽電池への応用に有望な電気的特性を示す酸化チタン極薄膜を開発し,その微小領域の構造を明らかにすることに世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

近年,原子層堆積法を用いて製膜した酸化チタン薄膜は,結晶シリコンの太陽電池において,光で生成した電子を収集する材料として優れた特性を示すため,高い変換効率が期待されている。しかしながら,高いパッシベーション性能を示す酸化チタン薄膜と結晶シリコンとの界面付近の構造が不明確なため,さらなる特性向上のためにも新規ヘテロ接合材料の開発指針が求められてきた。

そこで研究グループは,高性能な酸化チタン極薄膜の詳細な構造を調査し,世界で初めて高いパッシベーション性能を示す酸化チタン極薄膜の構造を明らかにした。試料の作製手順として,単結晶のシリコン基板を洗浄し,さらにオゾン水(DI-O3),過酸化水素水(H2O2),110°Cに熱した硝酸(HNO3),常温の硝酸を用いて事前に酸化処理を施した後,原子層堆積装置を用いて3nmの極薄膜の酸化チタンを製膜した。

また,その後の熱処理により高いパッシベーション性能を発現させた。さらに,その高いパッシベーション性能を示す試料に対して,透過型電子顕微鏡と電子エネルギー損失分光法を組み合わせることにより,熱処理前後の試料の断面の詳細な構造を解明した。

透過型電子顕微鏡を用いた微小な領域の構造の観察には,極めて丁寧に試料の薄片化を行ない,加工時のダメージを極限まで抑制した試料を作製することで,世界で初めて高いパッシベーション性能を示す酸化チタン極薄膜の詳細な構造を明らかにすることができた。

ヘテロ界面の微小な領域の構造の観察により,高性能な酸化チタン極薄膜は,熱処理前にはシリコンの酸化膜が化学量論的比から外れた密度の低い膜であったものが,熱処理をすることにより,チタン原子が含まれた化学量論比に近い密度の高いシリコン酸化膜になっていることがわかった。

さらに,酸化チタンと酸化シリコンの間には,両者が混在した混合膜ができていることもわかった。また,チタンを含んだ化学量論比に近い密度が高い緻密なシリコン酸化膜が高いパッシベーション性能に極めて重要であることも判明した。

研究グループは,今回の研究により,結晶シリコン系太陽電池に用いる新材料の構造設計の指針が明らかになり,太陽電池のさらなる高効率化とそれによる太陽光発電の普及が期待できるとしている。

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