京大ら,レーザーで一斉孵化のメカニズムを解明

京都大学と森林研究・整備機構森林総合研究所は,国内で広く見られるクサギカメムシにおいて,卵塊中のある卵が孵化を始めて殻が割れた瞬間,発生した振動が周りに感じとられ,一斉に孵化が起こることをレーザードップラー振動計で発見した(ニュースリリース)。

卵を産む動物の多くでは,母親は一か所に複数卵をまとめて産み,きょうだいのグループを作る。その場合,他のきょうだいから遅れて孵化するのは生存上都合がよくない。そのため幅広い動物の孵化前の子が,自分の孵化のタイミングを調整してきょうだいに近づけ,一斉孵化するしくみを持っている。

孵化タイミングをきょうだいに近づけるには,きょうだいがいつ孵化するかを「知る」ことが欠かせない。ある種の鳥やワニでは,孵化直前のきょうだいの鳴き声を利用している。また,きょうだいの動きによって生じた振動も情報になり得る。しかし,孵化前後の小さな子が出した振動のうち,どれが実際に卵の中で感じとられるのかということまで明らかにされていなかった。

研究グループは今回,国内で広く見られるクサギカメムシでこの仕組みを解明することを目指した。着目したのは,孵化を始めたきょうだいが「卵を割った」振動。カメムシの卵は独特の構造により蓋が勢いよく割れるので,何らかの振動が発生し近くの卵に伝わると予想された。

研究グループはまず,隣接した2卵を使用し,一方の卵で発生した卵が割れる振動を,他方の卵においてレーザードップラー振動計で記録した。8例が記録され,持続時間が0.003秒という非常に短いパルス状振動が隣接する卵に伝わることが判明した。続いて記録された振動を加振器を用いて再現し,孵化前の卵に与える実験を行なったところ,卵が15分以内に孵化する割合が増加し,卵が割れる振動には速やかな孵化を促す効果があると結論された。

この研究により,きょうだいが卵を割る振動に反応するという一斉孵化の単純で巧妙なしくみが初めて示され,同様の問いかけがさまざまな動物で行なわれることが期待される。その上で,この研究で採用した,レーザードップラー振動計による振動の記録と加振器による再現を組み合わせた実験手法は有用だと思われるとし,明らかになった行動のしくみが,害虫の防除方法開発の基礎となることを期待するとしている。

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