女子医大ら,超柔軟ナノメッシュセンサーを開発

東京女子医科大学は東京大学,理化学研究所と共同で,細胞と同じくらい柔らかいナノメッシュを電極としたセンサーを開発した(ニュースリリース)。

近年,ヒトのES/iPS細胞から作った心筋細胞による心臓モデルを使って,新薬の副作用を培養皿上で調べる研究が活発に進められている。心臓への副作用の発生には種差が大きく,これを動物実験から予見するのは難しい。そのため,ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(心筋シート)を使って薬物反応を定量的に評価する技術が重要性を増している。

従来の評価手法では,ガラスかプラスティック製の培養皿の内側に作製された多点の電極を使って,心筋シートを培養皿に固定した状態で表面電位を計測していた。だが,連続して自由に運動している細胞シートの表面電位を評価できる手法は,柔らかさと耐久性を兼ね備えた薄型のセンサーを実現することが困難であったため,これまでに報告がなかった。

今回,研究グループは,ポリウレタンを電界紡糸法によってナノファイバーを形成し,それを数層積層した非常に薄いナノメッシュセンサーを開発した。ナノメッシュセンサーは,心筋シートと同じくらい柔らかく(5%伸長させるために必要な力が0.2ミリニュートン),心筋シートの細胞から発生する非常に小さな力によって,自由に変形・伸縮する。

このセンサーは,ナノファイバーをテンプレートとして,金の薄膜(100nm)を蒸着法で形成することによって高導電性を有しながらも,センサーが心筋シートとともに伸縮する柔らかさと耐久性を同時に兼ね備えている。また,金薄膜を形成したナノファイバーの周辺のみを高分子膜(パリレン)でコーティングすることによって,絶縁性を向上し,電極間のクロストークを低減している。

実際に,ナノメッシュセンサーを貼りつけている心筋シートの動きを評価した結果,センサーを張り付けていない心筋シートと同等の伸縮を示し,心筋シートが自由に拍動する状態で,表面電位を96時間連続して安定に計測できた。さらに,多点で心筋シートの表面電位の分布を計測することによって,各点の時間差から活動電位(細胞膜に生じる細胞膜電位の変化)信号がシート内を伝搬していく状態を計測できた。

また,ナノメッシュセンサーは高い液透過性を有するため,細胞への薬物反応を評価することに向いているという。研究グループは,今回の研究が今後,創薬分野において,新薬の心臓への副作用を定量的に評価するための手法として期待されるとしている。

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