東工大,低コストスタートラッカーなど宇宙実験

東京工業大学の2つの研究テーマが,宇宙航空開発研究機構(JAXA)の革新的衛星技術実証1号機に搭載され,宇宙での実証に向け,イプシロンロケット4号機により打ち上げられる(ニュースリリース)。

イプシロンロケット4号機は,鹿児島県にあるJAXAの内之浦宇宙空間観測所から2019年1月17日の打上げを予定している。打ち上げの模様は,YouTube「JAXAチャンネルouter」にてライブ配信される予定。

JAXAの革新的衛星技術実証プログラムは,民間企業や大学などが開発した機器や部品,超小型衛星,キューブサットに,テーマを公募の上,宇宙での実証の機会を提供するプログラム。そのプログラムの1号機である革新的衛星技術実証1号機は,JAXAがベンチャー企業の力を利用して開発する小型実証衛星1号機(RAPIS-1,ラピス・ワン)と,6機の超小型衛星・キューブサットの計7機の衛星で構成されている。

キューブサットとは,1辺が10cmのサイコロ型衛星で,現在では,10cm×10cm×11.35cmを1ユニット(U)として,2U,3U,6Uなどの発展型も存在している。

今回の研究グループの実証テーマ「深層学習を応用した革新的地球センサ・スタートラッカーの開発」(DLAS,ディーラス)は,RAPIS-1に搭載される7つの実証テーマのうちの一つ。DLASは,深層学習の手法を画像認識に活用し,衛星が撮影した画像から陸地パターンを識別する技術の活用を実証する。

また,民生品を用いた低コストのスタートラッカー(宇宙を撮影し,写っている星の配置から衛星の姿勢を計測する姿勢制御装置)が動くかどうかを確認する。衛星がどちらを向いているかの判定や衛星の姿勢制御,軌道上における画像の選別に役立つことが期待される。

もう一つの実証テーマは,超小型衛星であるキューブサット「OrigamiSat-1」(オリガミサット・ワン)を用いた「3Uキューブサットによる高機能展開膜構造物の宇宙実証」。太陽電池やアンテナなどが載せられた薄膜が,折り紙の技術で小さくたたまれて10cm×10cm×34cmのキューブサットの中に収められた後,宇宙空間で1m×1mに展開するという技術の実証を行なう。併せて搭載するカメラで膜が開くところを撮影し,今後の研究開発へ活かす。

また,アマチュア無線帯で,高速で伝送するデータを地上で受信するというチャレンジも行なう。研究グループは,さまざまなデバイスを載せた薄膜の展開を実証することで,将来の実用化を見据えた宇宙構造構築技術,宇宙ロボット技術の開発につながることが期待されるとしている。

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