分子研ら,ドープ有機半導体の電気伝導度決定因子を発見

自然科学研究機構分子科学研究所(分子研),独ドレスデン工科大学(IAPP),独ドレスデン先進電子工学センター(cfead),米スタンフォード大学らの研究グループは,ドープ有機導体の電気伝導度を決める鍵となる因子を見出した(ニュースリリース)。

有機半導体は,柔軟で曲げることのできる電子回路を,印刷技術で大量に作るためには欠かせない材料であり,有機発光ダイオード(OLED)を用いたディスプレー市場で成功を収めている。しかしそれ以外の産業分野に進出するためには,さらに性能を向上させることが必要となる。性能向上のためには,ドーピングと呼ばれる技術が鍵になる。

ドーピングとは,元々極めて高純度に作られた半導体材料にわざと微量の不純物(ドーパント)を加えて,新たな性能を発揮させること。極微量のドーパントを加えるだけで,半導体中で電気を運ぶキャリアの振るまいが劇的に変化し,その結果,材料の電気伝導度を制御することができる。

有機エレクトロニクス製品においては,ドーパントとして分子を用いる「分子ドーピング」が不可欠の技術となっている。しかしドープされた有機半導体の中で,どのような仕組みで電気が運ばれるのかといった,基本的な物理現象の理解が不十分であったため,例えばシリコンのような非常に導電性の高い無機半導体に匹敵するまで電気伝導度を向上させることは困難だった。

今回,研究グループは,ドーパント分子を有機半導体に加えることで,プラスとマイナスに帯電した分子がくっついたような「錯体」が形成されることを,実験と理論シミュレーションを組み合わせた研究により明らかした。有機半導体中で形成される錯体の量や錯体の結合の強さ(クーロン相互作用)という特長が,電気を運ぶ「キャリア」が動くときに乗り越えなければならない障壁の高さを決め,電気伝導度の大きさを支配していることがわかった。

研究グループは,今回の研究のようにドーパント分子の何が重要な役割なのかを解明していくことが,さらに高い電気伝導度を持つ新しい分子材料を開発する基礎として重要と考えている。

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