東大の学生発明コンテスト,光関連技術2件が入賞

前列左から2人目より,鹿園直毅氏(審査委員長),西村啓吾氏,岸利治氏(生産技術研究所所長),佐々木由比氏,三澤龍志氏 写真提供:東京大学

東京大学生産技術研究所は,知的財産権主張のトレーニングを受ける機会を与えることを目的として,同大の学生を対象に開催した「第12回東京大学学生発明コンテスト」の表彰式を2月27日,東京大学生産技術研究所 S棟(60年記念館)にて行なった。

同研究所では,特許出願の模擬実習を兼ねた学生発明コンテストを2003年度より開催するとともに,発明の定義や特許制度の概要等を学ぶための特許講座も2013年度より開講し,特許制度について系統立てて学ぶ機会を提供してきた。2016年度からは,学生が知的財産権の理解をより一層深めることを目的として,特許講座と学生発明コンテストを隔年で交互に開講・開催している。

今回の発明コンテストは,2018年7月9日~10月15日にかけて行なった募集に応募した10件の発明について,東京大学生産技術研究所(産学連携委員会),東京大学産学協創推進本部,生産技術研究奨励会(TLO),弁理士で審査を行なった。審査は,既に特許性が謳われているか,特許化の可能性があるかも含めて行なわれた。なお,発明はアイデアのみや出願済であっても,学生の寄与率が50%以上であれば応募の対象となる。

審査の結果,発明大賞は佐々木由比氏(工学系研究科 化学生命工学専攻)が「迅速かつ正確なグリホサート検出を指向した蛍光センサアレイ」で受賞した。また,産学協創推進本部長賞は三澤龍志氏(工学系研究科 化学生命工学専攻)が「光応答性ヘッジホッグ経路制御分子」で受賞し,光学関連技術による発明2件が上位での受賞となった。

他にも,生産技術研究所長賞に西村啓吾氏(総合文化研究科 広域科学専攻)が「高効率血管新生アッセイのためのマイクロ流体デバイス」が選ばれたほか,他の3名が奨励賞を受賞した。

発明大賞を受賞した「迅速かつ正確なグリホサート検出を指向した蛍光センサアレイ」は,その危険性から世界的に問題となっている除草剤「グリホサート」について,ケモメトリクスと組み合わせることで迅速かつ正確な分析を達成するケモセンサアレイ。数少ない分子数でアレイを構築するため,カルボニル基を有するポリチオフェン誘導体を用いたTurn-ON型の高感度GlyP蛍光センサを作製した。

産学協創推進本部長賞を受賞した「光応答性ヘッジホッグ経路制御分子」は,骨格となる構造から官能基を少し変えるだけで,活性化剤または阻害剤となる光応答性分子。それに伴い,一つの分子骨格によって,幹細胞の分化制御からガンの治療まで様々な応用への展開が期待できる点が特長だという。

東京大学生産技術研究所所長の岸利治氏は挨拶の中で,このコンテストを通じて研究の「出口」を意識するのことの大切さを訴えると共に,自身の経験を踏まえて「特許を出願する回数を重ねる」ことの意義と重要性を説いた。

研究者においては若い頃に出願した特許が将来,大きな財産となる可能性がある。こうした活動を通じて研究者が,自らの研究の意義と社会における価値を,立ち止まって確かめることには大きな意義があると言えよう。大学も「稼ぐ力」が求められる現在,この活動を通じてより多くのシーズが社会において注目されるようになることを期待したい。

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