関西発,日本のものづくり強化へ―3D積層造形プロジェクトが始動!

日本の3Dプリンティング市場現状と3D積層造形によるモノづくり革新拠点化構想を述べる近畿経済産業局 次世代産業・情報政策課の谷川淑子氏

「関西から日本のモノづくり強化を発信する。そのツールが3D積層造形技術」-この3月7日に大阪工業大学梅田キャンパスで開催された近畿経済産業局主催の『3D積層造形によるモノづくり革新拠点化構想』キックオフイベントで,それは語られた。

約6年前に3Dプリンティングブームが訪れ,日本もその波に乗り,3Dプリンターや積層造形技術が注目を集めた。しかし,日本では一過性のもので終わったという印象がある。その一方で,海外では3D積層造形技術が進展し続け,生産現場への導入も進んでいる。日本は3D積層造形技術において海外より10年以上も遅れているというのだ。

同キックオフイベントの冒頭,講演を行なった近畿経済産業局 次世代産業・情報政策課の谷川淑子氏は3Dプリンティング世界市場に触れ,「世界市場に占める日本の3Dプリンター市場は,2016年の約3%(121億円)に対して,2020年予測でも約2%(190億円)にとどまる。成長率は世界の年約20%以上の成長に比べて,日本は約9%程度の伸びとなり,その幅は非常に小さい」という現状を指摘した。

調査会社のIDCによれば,3Dプリンターの世界市場は,2016年の約2,700億円から2020年には8,700億円と3倍以上の成長が見込まれており,装置や材料,ソフトウェアなどを含めた3Dプリンティング関連の世界市場は2022年までに約2兆5,300億円に達すると予測されている。こうした市場規模の中で,日本の3Dプリンティングに対する競争力は失われていると言わざるを得ない実状が述べられた。

谷川氏はまた,海外の3Dプリンターの活用例も紹介。海外ではこれまでの試作用途から,量産対応へとシフトしており,新たな材料や他の加工技術との組み合わせによって最終製品を製造するというのが進みつつあるという。実際,GEが航空機エンジン部品の量産化を進めている。欧州企業では自動車部品やスポーツ用品などの量産も始めているという。

政府の政策により,日本でも3D積層造形技術に関するプロジェクトが立ち上がり,5ヵ年事業として内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)において「革新的設計生産技術」や,次世代3D積層造形技術総合開発機構による「次世代型産業用3次元造形システム開発」が進められてきた。

3D積層造形活用・開発スキーム

こうしたプロジェクトが終了する中にあって,“次”の政策が求められている。近畿経済産業局はこの1月,グローバルにおいて加速する3D積層造形による量産化に対応するため,日本初となる『3D積層造形によるモノづくり革新拠点化構想』を発表した。

この構想は,産学官連携による広域ネットワークを構築するとともに,3D積層造形を活用した新たなモノづくりの普及を目指す『3Dものづくり普及促進会』と連携することで,様々な分野での新たなモノづくりの変革モデルを創出し,2025年の国際博覧会につながる未来の技術開発に取り組むというもの。

実用化・ネットワーク拠点は立花エレテック本社に設置。この構想には大阪大学,立命館大学,兵庫県立大学,山形大学,慶應義塾大学など積層造形技術を有する機関,技術開発支援機関として関西圏の公設試,産業技術総合研究所などが参画し,企業における3D積層造形活用を支援し,促進する。

現在,近畿経済産業局 次世代産業・情報政策課では全国の企業を対象に,3D積層造形によるモノづくり革新拠点化事業(Kansai-3D実用化プロジェクト)への会員募集(会費無料)を行なっている。

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