NIMSら,単一NVセンターのスピンを光電流検出

物質・材料研究機構(NIMS)と筑波大学は,独ウルム大学などと共同で,ダイヤモンド結晶中の電子スピンの状態を,光電流検出という電気的な手法で読み出すことに成功した(ニュースリリース)。

物質内部や生体内部の電場,磁場,温度の情報を高感度に検知できる「量子センサー」の開発が活発に行なわれている。中でも,ダイヤモンド結晶中に極微量含まれる窒素(N)と隣接する空孔(V)が組み合わさった欠陥「NVセンター」は,電子スピンをナノスケールに閉じ込めることができ,また量子状態の持続時間が長いため,高感度とナノ空間分解能とを併せもつ量子センサーへの応用が期待されている。

これまでNVセンターのスピン状態読み出しには,レーザー光を照射することでNVセンターから放出される蛍光を検出する手法が用いられてきたが,数十個に1個しか光子を捕集できないことがセンサー感度のさらなる向上を制限していた。

今回,研究グループは,高コントラスト化が可能な光電流検出を「単一NVセンター」で初めて成功した。ここでの「光電流検出」とは,NVセンターにレーザー光を照射することで発生する電流を検出する方法。今回の研究では特に,単一NVセンターの光電流マッピング検出を実証した。

この実証に適したダイヤモンド試料の作製は,まずダイヤモンド基板上にダイヤモンドの高純度層と窒素を極微量に含むNVセンター層を傾斜状に積層堆積し,その層断面が表面に現れるように表面精密研磨を行なった。得られたダイヤモンド試料表面の特定の場所において,単一NVセンターがダイヤモンド表面近傍にのみ分布し,下層は10μm以上にわたってNVセンターが存在しない高純度層が存在する領域が形成された。

研究グループは,この領域を用いることで光電流検出による単一NVセンターのマッピングに成功した。この成果は,量子センシングへの応用にも有力であることを示すものという。

また,研究グループは,今回開発した手法が,ダイヤモンド表面に小さな電極を用いるだけでNVセンターのスピン状態を検出できるため,量子センシング,量子情報処理のデバイスの小型化の鍵となると期待している。

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