京大ら,自然エネの地域経済循環率向上を実証

京都大学は,日立製作所と,域内自然エネルギー自給率と地域経済循環率を評価した結果,既成の電力供給に比べ,自然エネルギーによる電力自給率が95%の場合,地域社会の経済循環率が7.7倍向上することを明らかにした(ニュースリリース)。

人口減少や少子高齢化という課題に向き合い,持続可能な日本社会を目指すためには,地域内のエネルギー自給率,雇用率,税収などについて経済循環を高める政策を継続的に実行しなければならない。漏れバケツ理論によると,地域経済の大きな漏れ穴(資金の域外への流出)はエネルギーによるとされ,まず域外に流出する資本を食い止め,域内に還流させることが必要になる。

そこで,研究グループは,自然エネルギーによる地域経済循環の効果を検証するため,宮崎県高原町における域内自然エネルギーによる電力供給量と住民の電力需要量の実測データに基づいて,域内自然エネルギー自給率(既成電力利用率)に対するエネルギーコストと地域経済循環率のシミュレーションを行なった。

具体的には,電力需要側として,特性が異なる10世帯に消費電力センサーを取り付け,年間を通じた1時間毎の需要量の推移を求めた。また,電力供給側としては,町内の10個所へ日射センサーと水位・水流センサーを置くことにより,太陽光発電と小水力発電の年間を通じた1時間毎の供給ポテンシャルの推移を求めた。

そして,1008通りの発電機の組み合わせ(太陽光発電機,小水力発電機の電力供給能力および蓄電池容量の組み合わせ)のそれぞれで,年間を通じた1時間毎の電力需要量の推移を(1)全て既成電力で賄う場合(2)各世帯の電力料金が最小になるように既成電力と自然エネルギーを使い分ける場合(3)自然エネルギーを最大限利用して不足分を既成電力で賄う場合(4)全て自然エネルギーで賄う場合,4つのケースについて,域内自然エネルギーによる電力自給率,エネルギーコスト,地域経済循環率と地域経済循環量を比較した。

その結果,自然エネルギー自給率が95%の場合,自然エネルギーを最大限利用しつつもエネルギーコストを現在並みに抑え,地域経済循環率を7.7倍(14%)に向上できることがわかった。これが地域への新たな再投資を生むため,持続可能性の大きな向上が見込めるという。

研究グループは,これらの実験を通じて,地域経済循環率を高めるには,自然エネルギーの利用割合を高める必要があり,そのためには各世帯への電力供給を自律的に最適化する協調システム技術と,各世帯の協力的な節電行動の促進が重要であるとしている。

その他関連ニュース

  • 東芝,AIで高精度に太陽光発電量を予測 2019年07月17日
  • NEDOら,太陽光発電の設置ガイドラインを公開 2019年07月09日
  • NSG,英事業所で太陽光発電設備が稼働 2019年07月08日
  • 東大,ペロブスカイト太陽電池で変換効率20.7% 2019年07月08日
  • NEDOら,太陽電池搭載車の公道走行実証開始 2019年07月04日
  • 金工大ら,災害時用太陽光発電・給湯ユニットを開発 2019年06月26日
  • MHIET,太陽光など使う自立給電システムを開発  2019年06月25日
  • 東大ら,ナノチューブに光起電力効果を発見 2019年06月20日